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【小説】if ~もう少しだけアイツと一緒にいられたら~ 第11話

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【小説】if ~もう少しだけアイツと一緒にいられたら~ 第11話

 月曜日の朝。
 中間テストが終わり、今日から部活が再開する。
 朝練に行くため、7時前に家を出た。
 いつものように、あいつのアパートの前を通り、学校に向かう。

 あいつとはタイミングが合わず、会うことはできなかったが、部活で会えるし、同じクラスだ。

 あいつと出会うことなく、学校に着いた。
 校門を抜け、部室に向かう。
 部室まで行くと、友達と話しているあいつがいた。
 「緒川ー!早ようせんと、先輩に怒られるぞぉ。」
 「おぅ。」
 今日のあいつもやっぱり可愛い。
 急いで部室に入り、着替えを済ませてグラウンドに急いだ。


 

 部長の掛け声でグラウンドに集合し、挨拶が始まる。
 「大会も近いけぇ、みんな頑張るように!」
 「はいっ!」
 「それと、今日から教育実習が始まる。体育大学の先生が来るけぇな。」
 どんな人が来るんだろうと思いながら、朝練をこなした。

 朝練を終えて教室に入る。
 友達といろいろ話をしているところで、担任の先生が教室に入ってきた。
 朝の会が始まる。
 担任の先生は、教育実習生を連れていた。
 体育会系のゴリゴリのお兄さんを想像していたが、ショートヘアのお姉さんだった。
 思春期の中学生から見れば、大学生のお姉さんは大人の女性で刺激的だった。
 ショートヘアの似合う美人のお姉さんに見とれてる男子たち。


 

 「岡田奈緒子です。みなさん、よろしくお願いします。」
 「岡田さんは体育大学で陸上をしている。うちのクラスで陸上部は...。」
 手を挙げるあいつと私。
 「おまえらか。岡田さんは大学で短距離選手じゃぁ。部活も見てもらうつもりじゃけぇ。」
 「はい。よろしくお願いします。」
 「緒川、鼻の下伸びとるぞ。」
 「・・・、伸びてないッス」
 「よろしくね。」
 朝の会が終わる。

 授業が始まるまでの空き時間、教育実習生のお姉さんに声を掛けられた。
 「緒川君、陸上部では何をやっとるん?」
 「短距離を希望しとるんじゃけどぉ。」
 美人のお姉さんにドキドキする私。

 「ウチも短距離やりよるんよ。よろしくね。」
 「はい。よろしくっス。」

 思春期の中学生だった私には、刺激が強い。
 他の男子と同様、女性にも、女性のカラダにも興味を示す時期。
 好きな人に対する気持ちとは別のドキドキがある。
 大人の女性の香りというか、フェロモンというか。

 

 

 今日は体育の授業があった。
 グラウンドに集合すると、体育教師から、
 「今日は予定を変更して、陸上をやることにするけぇ。」
 体育大学から来た教育実習生に指導してもらおうとのことだった。
 体操とランニングを終えた後、50m走をすることになった。
 身長もタイムを伸びてきた私には、自信があった。
 男女合同で行われ、私は上位3番目といったところだろうか。
 10cm以上身長の高い友人には、勝てなかった。
 生徒全員を一通り見た後、
 「緒川君の走り方が一番良かったですね。さすが陸上部。」
 みんなの前でお姉さんに褒められて、デレデレする私。
 悟られないようにしていたつもりでも、隠しきれない。

 体育の授業が終わり、靴とソックスを脱いで足を洗っているところに、
 「緒川君は足が大きいけぇ、これからどんどん背が伸びるじゃろぉーね。」
 「そっかぁ。」
 「背が伸びたら、タイムも伸びると思うんよ。頑張ってね。」
 声を掛けられ、デレデレしているところに、
 「なに、デレデレしとるん。次の授業に遅れるじゃろぉ!」
 あいつに怒られながら、急いで着替えて、次の授業に向かった。

 

 授業も終わり、部室に向かう。
 県大会を控えている先輩たちは、どこかピリピリとしている。
 1年生の私は、入部以来ずっと基礎体力作り。
 走り込みを終え、小休憩をしながら、同級生たちとする話題は、教育実習生のお姉さんだ。
 「ぶち美人じゃなぁー。」
 「ホンマに美人じゃね。」
 「彼氏おるんかなぁ?」
 「そりゃ、おるじゃろ。」
 こういう話題は、男同士では特に盛り上がる。
 女子からは冷ややかな目で見られている。

 

 筋トレをしながら、先輩たちの練習を見ているお姉さんに釘付けの男子たち。
 私も同様だったが、
ふと、あいつのことが気になった。
 あまり怒ることのないあいつ。

 あいつの方をみると、目が合った。
 ほかの女子と同じように冷ややかな目で見られていた。
 どことなく悲しい表情。
 気まずくなって、目をそらした。
 

 

 部活が終わり、部室に向かう途中、あいつに話しかけた。
 「なんかあったん?」
 「別に...。何デレデレしとん。」
 それ以後、口をきいてくれなかった。
 着替えを済ませて、部室を出たが、あいつはもう帰った後だった。

 ひとりで下校している途中、いろいろ考えた。
 「(あいつって、まさか嫉妬してる?)」
 付き合っているわけではない。
 しかも、あいつが誰を好きなのかも分からない。
 「(軽蔑されちゃったかな)」
 嫌われたかもしれない不安に襲われた。

 今週は中間テストの結果が出る。
 勉強は得意ではないが、あいつとふたりで勉強し、家でも勉強した。
 そして、あいつとの勝負する約束をしている。
 テスト結果は?
 あいつとの関係はどうなる?
 それは次回で。

 

第12話はこちら↓

【小説】if ~もう少しだけアイツと一緒にいられたら~ 第12話
中学校に進学し、あいつとの距離を縮めた私。教育実習で来た大学生のお姉さんは、私のような思春期の中学生には刺激が強い。中学生になったばかりの女子とは、色気が違う。そして、肉体的にも。女子からの冷ややかな目とは裏腹に、男子は皆、大人の女性の魅力に釘付けとなっている。

 閲覧ありがとうございました。

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