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【小説】if ~もう少しだけアイツと一緒にいられたら~ 第3話

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【小説】if ~もう少しだけアイツと一緒にいられたら~ 第3話

 中学校生活にも慣れた5月。
 授業にも部活動にも慣れ、新しい友達や部活の先輩とも良い人間関係を築けた。
 陸上部に入り、走り込みや筋トレなどの基礎体力作りにも慣れてきた。
 中学生に対してのハードルの高さも、いざ中学生になってみればこんなものかと、小学生の延長
 のように過ごしていた。
 
勉強はあまりせず、休みの日はゲームをしたり、友達と遊ぶことが楽しい。
 
もっと早く走れるようになりたいと、自主トレもしている。
 親父に、「しっかり勉強しろ!」と叱られながら。
 

 

 運良くあいつと同じクラスで、陸上部でも一緒。
 一緒にいる時間は長いものの、距離が縮まったわけではない。
 今日のあいつも、相変わらずかわいい。
 男子からモテモテで、クラス内でも浮いている。
 そのせいか、あからさまに近づく男子はおらず、女子の一部からも敬遠されている。
 そんな私も離れたところから、あいつをただ見ているだけだった。

 

 中学生になって初めての中間テストが迫ってきた。
 テスト期間中は、部活動が禁止されている。

 それは、あいつと会話する機会がなくなるということ。
 授業が終わって下校時間になり、あいつの動向を気にしてチラチラ見ながら、
ひとり教室を出た。
 部室に置いてあるランニングシューズを持って帰ろうと、グランドを横切り、部室に向かう。
 「今日から、テスト期間じゃろ。」
 あいつが後ろから声をかけてきた。
 「置きっ放しのシューズを取りに行くだけじゃよ。」
 「そっか。うちも持って帰らんと。」
 教室での会話はほとんどないが、部活が一緒であることで、話す機会に恵まれた。
 

 

 自然と成り行きで、一緒に下校することになった。
 普段はみんなと同じように、国道2号線沿いの通学路で通学していた。
 あからさまに、ふたりで下校するところを見られることを避けようとした私は、
 「帰り道変えん?」
 と切り出した。
 「ええよ。」
 あいつと裏道で帰ることになった。

 「緒川って、勉強しとるん?」
 「しとらんよ。友野は?」
 「うちも。あんまりしてないんよ。何しとるん?」
 「ゲームしとるくらいじゃよ。」
 「親、怒らんの?」
 「もう慣れとるけぇー。」
 こんな会話が続き、あいつのアパートの近くまで来ていた。

 

 「明日、何しとるん?」
 「たぶん、ゲームじゃろ。」
 「勉強せないけんじゃろ?図書館行かん?」
 「勉強かぁー。めんどいのぉー。」
 「ええけぇー、行こー。」
 「俺と勉強しても、いけんじゃろ?」
 「緒川って社会得意じゃろ。うちは英語得意なんよ。」
 「じゃぁー、えぇけど。」
 「明日、三原の図書館行こ。」

まさか、休日を一緒に過ごす約束をすることになるとは。
これはデート?
いやいや、話の流れで決まっただけ。
でも...。
あいつは、どういうつもりで誘ってくれたのだろうか?
もしかして...、それはないよな。
あいつに片思いの私は、変な期待をしてしまう。
さて、明日はどうなるのか?
それは、次回で。

 

第4話はこちら↓

【小説】if ~もう少しだけアイツと一緒にいられたら~ 第4話
あいつと明日、図書館で勉強する約束をした私は、飛び上がりたいくらい嬉しかった。帰宅した私は、両親に、「明日は出かけるけぇー。」と言うと、「もうすぐ、中間テストでしょ?勉強しなさいよ。」と相変わらず、口うるさい。「じゃけぇー、明日は図書館で勉強するんよぉ。」

 閲覧ありがとうございました。

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