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【歴史小説シリーズ】三国志 第二話④ 平原県令

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三国志 第二話④ 平原県令

黄巾の乱は鎮圧されたものの、乱れたままの漢王朝。
張譲や趙忠を始めとした十常侍は大権をわがものとして、黄巾の乱で軍功のあった者に対して賄賂を強要し、従わない者を罷免していた。
皇甫嵩や朱儁は当然の如く応じなかったために罷免され、趙忠が車騎将軍に任じられ、十常侍の十三人がみな列候の封ぜられた。

ますます朝政が乱れたことにより、各地で叛乱が起きた。
長沙では賊の区星、漁陽では張挙と張純など、急を告げる報告があったが、十常侍は握り潰して帝に報告しなかった。

 

帝は後園で十常侍らと宴を開いていた時のこと。
諌議大夫の劉陶が進め出て、
「中華は今、乱れておりますのに、何故に宦官どもとご酒宴にございますか!」
「漢は安泰じゃ。危急なことなどありはせぬ!」
「各地で反乱がおこり、州郡を侵しております!この禍いは十常侍が金で官を売り、民を虐げ、帝を欺いて起こったものにございます。正しい人物はみな罷免されて去り、大過は目の前に迫っております!」

これを聞いて、十常侍が平伏して、
「大夫がお気に召さぬとあらば、我らは国許に帰り、家財を軍費に当てて下さい。」
と帝は不愉快な様子で、劉陶の首を斬るように命じると、
「臣は斬られても構いませぬが、
四百年続いた漢王室が今、終わろうとしているのです!」
絶叫している劉陶が引き摺り出されて処刑されるところに、司徒の陳耽が言う。
「処刑は待て!わしがお諫めしてみる」

言い終わると、陳耽は参内して帝に、
「天下は乱れ、人民はみな十常侍を憎んでおりますのに、陛下は彼らを父母と敬い、功のないのに列候に封ぜられました。ましてや封らは黄巾賊と手を結び、反乱を企てた者にございます。」

すると帝は、
「十常侍が反乱を謀った証拠がどこにあるのじゃ。十常侍に忠臣はおらぬと申すか!」
陳耽はひたすら諫めたが、帝はお怒りになり、劉陶と共に獄に下された。
その後、十常侍はふたりを獄にて誅殺した。

 

十常侍が偽りの詔を出して、孫堅を長沙の太守に任命して、区星の討伐に当たらせた。
ひと月半後には平定され、孫堅は烏程候に封ぜられた。
また、劉虞を幽州の牧に任じ、張挙と張純の討伐を命じた。

代州の劉恢は、劉虞に劉備を推薦し、劉虞は劉備を都尉に任じた。

賊の本陣を突き、数日にわたる激戦の末、頭目が張純を刺し殺して降参した。
張挙は自ら溺死し、漁陽は平定された。
劉備の大功を奏上し、劉備は下密県の丞、高堂の県尉を歴任した。
兄貴分の公孫瓚も奏上したこともあり、劉備は別部司馬に昇り、平原県令に任じられた。

 

劉備が平原県令に着任してから、平原の兵糧や軍資金、兵馬は豊かになり、劉備らも威風を取り戻していった。
また、劉虞は賊平定の功によって、大尉に封ぜられた。
反乱は鎮圧され、県令に落ち着いた劉備。

そんな中、漢王室ではまた一波乱あるのだが、それは次回で。

 

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 閲覧ありがとうございました。

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