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【歴史小説シリーズ】三国志 第二話① 黄巾の乱鎮圧

三国志 小説三国志

三国志 第二話① 黄巾の乱鎮圧

 張飛は激高し、刀を振りかざし、董卓に斬りかかろうとしている。
 この董卓、字は仲頴といい、河東郡の太守である。
 「あの者は、おかみに仕える役人だ。やめるんだ、翼徳!」
 「玄徳兄者、あんな奴を生かせておけば、この先、あいつに従わねばならん!俺にはそんなこと
 はできん!兄者たちがここに留まるなら、俺は出て往く!」
 「落ち着け、
翼徳!我ら三人、生死を共にすると誓ったではないか!離れたりなどできぬ。
 ここは一旦、共に去ろうではないか。」
 「兄者、それなら俺の腹の虫も、少しはおさまるというもの。」

 

 劉備ら三人は、手勢を引き連れて、朱儁のもとを頼って行った。
 朱儁は劉備たちを歓迎し、兵を併せて張宝討伐に向かうこととなった。
 この時、曹操は皇甫嵩に従って張梁を攻め、曲陽で大いに戦っている。
 張宝は賊軍八、九万を率いて陣取っており、朱儁は玄徳たちを先手として出陣させた。
 賊軍から、副将の高昇が出てくれば、劉備は張飛を呼んで、高昇にあたらせた。
 張飛は、馬上で蛇矛をしごいて躍り出し、切先を合わせること数合で高昇を落馬させた。
 それと同時に劉備が
手勢に下知して、一気に斬り込もうとしたが、張宝の大軍が押し寄せた。
 劉備らは退却を命じたが、兵は乱れて逃げ惑い、惨敗を喫して帰陣した。

 

 「明日は、山頂に伏勢して賊が来るのを待ち、討って出よう。」
 朱儁からの命を受けた劉備は、関羽と張飛にそれぞれ兵一千を与えて伏せさせた。
 翌日、張宝が戦を挑んでくると、劉備は手勢を率いて迎え撃ち、競り合いとなった。
 劉備は馬首を返して退くと、張宝が賊兵を率いて追って来る。
 賊軍が山裾に入った時、石弓を合図に
右から関羽勢、左から張飛勢が討って出て、張宝が退こう
 としたが、劉備と朱儁勢が一斉に追い打ちをかけて、賊軍は散々に打ちのめされて敗走した。
 劉備は、逃げる張宝を追い立て、放った遠矢が張宝の左肘に突き刺さったが、矢を抜くことなく
 陽城県の城に逃げ込み、籠城した。
 朱儁は兵を率いて城を取り囲み、攻め立てる一方で、物見に皇甫嵩の状況を探らせた。

 

 物見の報告によると、皇甫嵩は大勝をおさめており、度重なる敗戦を繰り返した董卓は朝廷の
 命で、皇甫嵩に指揮権が変わった様子。
 黄巾賊の方では、張角はすでに病死しており、弟の張梁が指揮を執ったが、皇甫嵩率いる官軍に
 大敗して、曲陽で斬り殺された。
 張角の棺を暴いて、さらし首としたうえで、都に送ったため、賊徒の残党を全て降参させた。
 その功により、皇甫嵩は車騎将軍に昇進し、冀州の牧に任ぜられた。
 また、皇甫嵩は盧植の汚名を晴らすために朝廷に奏上し、盧植は官職に復帰したという。
 曹操も功により済南の相に任じられて、軍を引き揚げて赴任している。

 これを知った朱儁は、兵を励まして城攻めに全力を注いだ。
 落城間近となった時、賊将の厳正が張宝を刺し殺し、首を献じて賊軍は降伏し、朱儁は数郡を
 討ち平らげて、朝廷に勝利を奏上した。

 

 

 

 

 

 

 その後、黄巾の残党である趙弘、韓忠、孫仲の三人が数万の残党を集めて、あちこちで放火や
 強盗をはたらき、張角の仇打ちと称して宛城を占拠していた。
 朝廷は、朱儁に詔して、余勢を率いてこれを討つ命を下した。
 朱儁が宛城を攻めると、趙弘は韓忠を出して防がせた。
 西南から劉備らが攻め込み、朱儁は自ら二千騎を率いて東南から一気に攻め寄せた。
 西南
の賊軍が城へ退こうと動きをみせた時、劉備らは背後から攻め立て、賊軍を大敗させた。

 

 朱儁は宛城の四方を取り囲み、城内は兵糧が尽いて投降を申し入れたが、朱儁は応じなかった。
 劉備は、
 「昔、高祖劉邦が天下を取ったのは、降伏を勧めて、降伏した者を心良く受け入れたためです。
 朱儁殿は何故、降伏に応じないのでしょうか?」
 と聞くと、朱儁は言う。
 「秦の末、項羽のときは、天下は大いに乱れ、民の主たる者がなかったために、帰順する者に
 恩賞を与えてまで降伏を勧めたのじゃ。今は漢王朝の世であり、謀反する者は黄巾の賊徒。
 降伏を許すようなことを賊徒にやるのは、悪をはびこらせるもので、良策ではない。」
 劉備は納得しながらも、
 「しかし、四方を囲んで逃げ場なく、降伏も許されないとなると、賊徒は決死の覚悟で戦うこと
 になります。ここは、盗難の囲みを解き、西と北から攻めれば、賊は戦意を失い、城を捨てて
 逃げ出すでしょうから、容易に敵を捕捉できるかと存じます。」
 朱儁はこれに同意して、東南の兵を退かせて西北から一斉に討ってかかり、韓忠は軍勢を率いて
 城を捨てて逃げ出した。
 劉備らを率いて、逃げ出す賊軍に襲いかかり、韓忠は矢に当たって討ち死にしたが、それをみた
 趙弘と孫仲が加勢に駆けつけて、宛城を奪還した。
 朱儁勢は一旦退いて、十里離れたところに陣を取り、再び攻めようとしたとき、東方から一群の
 人馬が現れた。
 陣頭に立った大将とは、どのような漢(おとこ)なのだろうか?
 それは次回で。

 

第二話②

【歴史小説シリーズ】三国志 第二話② 安喜県の県尉
体はまるで虎、腰は熊のような体格をしたこの漢(おとこ)は、姓名を孫堅、字を文台といい、孫氏の末裔を称している。十七歳の時、商人から金品を強奪した海賊を討伐した功により、校尉に推挙された。その後、許昌という者が陽明皇帝と称して、子の許韶と反乱を起こしたが、孫堅はこれを鎮圧。

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 閲覧ありがとうございました。

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