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【小説】if ~もう少しだけアイツと一緒にいられたら~ 第4話

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【小説】if ~もう少しだけアイツと一緒にいられたら~ 第4話

 あいつと明日、図書館で勉強する約束をした私は、飛び上がりたいくらい嬉しかった。
 帰宅した私は、両親に、
 「明日は出かけるけぇー。」
 と言うと、
 「もうすぐ、中間テストでしょ?勉強しなさいよ。」
 と相変わらず、口うるさい。
 「じゃけぇー、明日は図書館で勉強するんよぉ。」
 「あ、そう、珍しいこともあるもんだね。」

 両親との会話のあと、自分の部屋に行き、着替えをしながら、明日のことを考えていた。
 というより、あいつのことであたまがいっぱいだった。
 着替えを済ませた後、ショルダーバッグに教科書とノート、筆記用具を入れ、明日の準備をした。
 夕焼けに染まる瀬戸内海を部屋から眺めながら、あいつとの出逢いを思い出した。

 

 あれは、私が小学3年生のこと。
 元々両親は愛知県の人間だった。
 親父の仕事の関係で、千葉県我孫子市で幼少期を過ごした私。
 広島に転校しなければならないことを両親から告げられた私は、大泣きしたものだが、
 結果的に引っ越して、本当に良かったと思っている。
 幼少期の私は、外で遊ぶことが大好きで、テレビゲームは友達の家で遊ぶだけだった。
 当時、よく遊んでいたおもちゃといえば、ミニ四駆やプラモデル、エアーガンだ。
 ゲーム機も買ってもらって遊ぶようになったのは、あいつに出逢った頃だろうか。

 

 小学5年生に進学した私は、クラス替えと同時に、転校してきたあいつに出逢う。
 長い髪の見慣れない女の子を教室で見かけた私は、
 「(あんな子、同じ学年にいたかなぁ?)」
 と疑問に思いながら、新学期を迎えた。

 

 あいつの席の前にいた私は、話す機会があった。
 聞いた話では、山口県から引っ越してきたとのことだった。
 髪の長いあいつをその時は、みんなと同じ同級生のひとりとしてしかみていなかった。
 夏が近づき、暑くなってきた頃、あいつは髪をバッサリ切って、ショートボブになった。
 今までよりもあいつの顔が見えるようになり、それ以来、あいつのことが好きになった。
 

 

 私は仲良し3人組を結成して、学校生活や登下校、放課後とあいつにちょっかいを出していた。
 当時から、男子にモテていたあいつ。
 私はというと、チビのくせにクラスで1番
足が速かったくらいの取柄しかなかった。
 スポーツが得意というわけでもなく、勉強ができるわけでもなく、モテていたわけでもない。
 6年生になった頃には、あいつを意識するあまり、ちょっかいを出せなくなり、少し離れた
 ところから見ていることが多くなった。
 2学期も半ばを過ぎた頃、ニキビができ始めた私と胸がふくらみ始めたあいつ。


 妹が大病にかかり入院したことや転校の話で、私は少し不安定な時期だった。
 退院して学校生活に戻ること妹は、勉強は遅れてしまったが、普通に生活が出来るようになり、
 親父の転勤話も無くなったことで、落ち着きを取り戻した頃は、もう卒業式が迫っていた。
 
小学校高学年の2年間を共に過ごしたあいつと私
 本格的な思春期に突入する中学校生活はどうなるものか?
 
 

 中学生になったら、陸上部に入ることを決めていた私は、中学校生活をスタートした。
 まさか、あいつが陸上部に入って来るとは思ってもみなかった。
 あいつが
なぜ、陸上部に入ってきたのか?
 足の速かった私は、中学校では陸上部に入ることを友達に話していたのだが、それが関係して
 いるのか、していないのか?
 何はともあれ、同じクラスで陸上部に入り、
意外な展開で接近し始めたあいつと私。

 

 明日は、あいつと図書館で中間テストの勉強をする。
 それを考えると、期待と緊張が共存する。
 これは、デートなのか...?
 そんなことを考える私と、深い意味は無いであろう気持ちのあいつ。
 明日はいったいどんな一日となるのやら。
 それは次回で。

 

第5話はこちら↓

【小説】if ~もう少しだけアイツと一緒にいられたら~ 第5話
いつもより早く目が覚めた朝。カーテンを開け、良い天気にテンションはさらに上がる。一階に降りると、両親と妹がリビングにいた。「もう起きたん?珍しい。」「今日は図書館で勉強じゃけぇー。」あいつとふたりで図書館に行くことは、内緒だ。

 閲覧ありがとうございました。

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