【南海トラフ地震】全国&愛知県扶桑町の被害予測と防災対策!
30年以内に80%の確率で起こるとされる南海トラフ地震。
南海トラフ地震とは、日本の太平洋沿岸部に甚大な被害をもたらす可能性がある巨大地震です。
「もし、南海トラフ地震が起きたら、私たちはどうなってしまうの?」
そこで、南海トラフ地震の基本情報、日本の被害予測、被災後の状況予測について調べました。
そして私が住む愛知県扶桑町の被害予測についても調べてまとめてみました。
これからの防災・減災意識向上の一助になれば、幸いです。
<引用>
- 気象庁:南海トラフ地震に関する評価検討会
- 内閣府防災情報ページ:南海トラフ地震対策
- 内閣府:南海トラフ巨大地震の被害想定について(第一次報告・第二次報告)
- 内閣府南海トラフ巨大地震におけるライフライン・インフラ地震対策
- NHKニュース:南海トラフ地震の新たな被害想定
- 扶桑町公式ホームページ:防災マップ
- 愛知県:愛知県東海地震・東南海地震・南海地震等被害予測調査結果
- 地震調査研究推進本部:南海トラフの地震活動の長期評価
南海トラフ地震の基本情報
出典:国土交通省 気象庁
南海トラフとは
- 駿河湾から遠州灘、熊野灘、紀伊半島の南側の海域及び土佐湾を経て日向灘沖までのフィリピン海プレートとユーラシアプレートが接する海溝状の地形
- 全長約700kmにわたる細長い海底の溝
- 水深2,000~4,000mの深い溝状の地形
南海トラフ地震のメカニズム
- フィリピン海プレートがユーラシアプレートの下に年間約2~5cm沈み込む際に蓄積される、ひずみが限界に達すると発生
- プレート境界面が広範囲にわたって一気にズレ動くことで巨大地震が発生
- 震源域が広大なため、強い揺れと高い津波が広範囲に及ぶ
過去の南海トラフ地震
684年 | 白鳳(天武)地震 | ー |
887年 | 仁和地震 | 203年 |
1096年 | 永長地震 | 209年 |
1361年 | 正平(康安)地震 | 265年 |
1498年 | 明応地震 | 137年 |
1605年 | 慶長地震 | 107年 |
1707年 | 宝永地震(M8.6) | 102年 |
1854年 | 安政東海地震(M8.4) / 安政南海地震(M8.4) | 147年 |
1944年 1946年 |
昭和東南海地震(M7.9) 昭和南海地震(M8.0) |
90年 92年 |
発生周期と切迫性
- 過去の発生間隔:約100~150年周期
- 前回の昭和東南海地震・昭和南海地震から約80年が経過
- 今後30年以内の発生確率:80%程度(2025年1月時点)
- 地震調査研究推進本部による評価では「高い」から「極めて高い」に引き上げられた
想定される地震の規模
- マグニチュード8~9クラス
- 想定される震源域の面積:約10万km²(四国の約5倍)
- 震源域の長さ:約700km
- 震源域の幅:約100~200km
現在の観測状況
- 深部低周波地震(微動):紀伊半島から四国にかけての深さ30~40kmで定期的に観測
- スロースリップ:東海地方や四国地方で数ヶ月から数年周期で観測
- プレート境界の固着状態:GNSSによる地殻変動観測で監視中
- 南海トラフ地震臨時情報:異常な現象が観測された場合に気象庁から発表
日本全体の被害予測
出典:内閣府 防災情報のページ
想定される震度分布
- 震度7:静岡県、愛知県、三重県、和歌山県、徳島県の太平洋沿岸部を中心に計71市区町村
- 震度6強:1都2府18県の707市区町村
- 震度6弱:1都1道2府26県の1,153市区町村
- 震度5強以上:29都道府県、約1,800市区町村
津波の高さと到達時間推定
<最大津波高>
- 高知県黒潮町:34.4m
- 静岡県焼津市:21.1m
- 三重県尾鷲市:27.3m
- 和歌山県那智勝浦町:23.3m
<津波到達時間(第一波)>
- 静岡県沿岸:約3~5分
- 高知県沿岸:約3~15分
- 和歌山県沿岸:約3~15分
- 三重県沿岸:約3~20分
- 大阪湾沿岸:約90~120分
人的被害推定
- 死者数:最大約32万3,000人
- 建物倒壊による死者:約8万2,000人
- 津波による死者:約23万人
- 火災による死者:約1万人
- 崖崩れ等による死者:約600人
- 負傷者数:約62万3,000人
- 重傷者:約16万3,000人
- 軽傷者:約46万人
- 災害関連死:2025年3月末に公表予定の新たな被害想定で初めて推計
建物被害推定
- 全壊・焼失建物数:最大約238万6,000棟
- 揺れによる全壊:約134万6,000棟
- 液状化による全壊:約13万4,000棟
- 津波による全壊・流失:約75万4,000棟
- 火災による焼失:約74万6,000棟
- 崖崩れ等による全壊:約6,000棟
- 半壊建物数:約166万8,000棟
インフラ被害推定
<電力>
- 停電世帯数:最大約2,710万軒
- 発電所被害:火力発電所の燃料供給停止、水力・原子力発電所の運転停止
- 送配電設備被害:鉄塔倒壊、電柱折損、地中ケーブル損傷
<上水道>
- 断水世帯数:最大約3,440万軒
- 浄水場被害:建物損壊、薬品・燃料不足
- 配水管被害:管路破損、漏水
<下水道>
- 機能支障世帯数:最大約3,210万軒
- 処理場被害:建物損壊、機械設備損傷
- 管渠被害:管路破損、マンホール浮上
<ガス>
- 供給停止世帯数:最大約1,800万軒
- 製造設備被害:LNG基地損傷
- 供給設備被害:中圧管・低圧管破損
<通信>
- 固定電話不通回線数:最大約930万回線
- 携帯電話基地局停波率:最大約85%
- インターネット接続困難世帯数:最大約2,710万軒
交通インフラ被害推定
<道路>
- 高速道路:約1,900kmが通行止め
- 一般道路:約4万1,000kmが通行止め
- 橋梁:約3,500箇所が損傷
- 盛土・切土:約1万9,000箇所が損傷
<鉄道>
- 新幹線:約1,900kmが運休
- 在来線:約1万9,000kmが運休
- 駅舎:約1,500駅が損傷
- 橋梁・高架:約3,600箇所が損傷
<港湾>
- 岸壁:約5,000バースが使用不能
- コンテナターミナル:約200バースが使用不能
- フェリーターミナル:約100バースが使用不能
<空港>
- 滑走路:中部国際空港、静岡空港、高知空港等で使用不能
- ターミナルビル:損壊、天井材落下等
経済的損失推定
資産等の直接的被害 | 約169.5兆円 |
建物等(建物・家財) | 約97.0兆円 |
ライフライン施設 | 約13.0兆円 |
交通施設 | 約22.0兆円 |
その他公共土木施設等 | 約37.5兆円 |
生産・サービス低下による被害 | 約44.7兆円 |
製造業・サービス業の生産活動停止 | 約31.3兆円 |
交通寸断による流通被害 | 約6.1兆円 |
観光業への影響 | 約7.3兆円 |
災害廃棄物処理費用 | 約6.1兆円 |
総被害額 | 約220.3兆円 (国家予算の約2倍) |
避難者・帰宅困難者推定
- 避難者数:最大約950万人
- 避難所:約550万人
- 避難所外:約400万人
<帰宅困難者数>
東京都 | 約517万人 |
神奈川県 | 約244万人 |
愛知県 | 約110万人 |
大阪府 | 約134万人 |
その他 | 約295万人 |
合計 | 約1,300万人 |
時間差(半割れ)の発生被害推定
- 避難生活中の住民が再度被災するリスク
- 復旧・復興活動の中断
- 広域支援体制の分散
被災後の状況予測
出典:南海トラフ巨大地震におけるライフライン・インフラ地震対策の取組状況
ライフラインの復旧見通し
電力の詳細復旧見通し
発災直後 | 最大約2,710万軒が停電 |
3日後 | 約1,900万軒が停電継続 |
1週間後 | 約1,200万軒が停電継続 |
2週間後 | 約600万軒が停電継続 |
1ヶ月後 | 約100万軒が停電継続 |
<復旧の優先順位>
- 災害拠点病院等の重要施設
- 避難所等の公共施設
- 一般住宅地域
<復旧の課題>
- 道路寸断による復旧作業車両のアクセス困難
- 部品・資材の不足
- 復旧作業員の不足
水道の詳細復旧見通し
発災直後 | 最大約3,440万軒が断水 |
1週間後 | 約2,400万軒が断水継続 |
1ヶ月後 | 約1,300万軒が断水継続 |
3ヶ月後 | 約300万軒が断水継続 |
<復旧の優先順位>
- 浄水場・配水池等の基幹施設
- 災害拠点病院等の重要施設への供給ライン
- 避難所等の公共施設への供給ライン
- 一般住宅地域への供給ライン
<復旧の課題>
- 地中埋設管の被害把握の困難さ
- 漏水箇所の特定と修理の時間
- 電力復旧との相互依存関係
ガスの詳細復旧見通し
発災直後 | 最大約1,800万軒が供給停止 |
1ヶ月後 | 約1,200万軒が供給停止継続 |
3ヶ月後 | 約400万軒が供給停止継続 |
6ヶ月後 | ほぼ復旧完了 |
<復旧の優先順位>
- 製造設備・高圧導管等の基幹設備
- 病院等の重要施設への供給ライン
- 一般住宅地域への供給ライン
<復旧の課題>
- 安全確認のための家屋ごとの開栓作業
- 復旧作業員の不足
- 道路寸断による復旧作業車両のアクセス困難
通信の詳細復旧見通し
発災直後 | 固定電話 | 最大約930万回線が不通 |
携帯電話 | 最大約85%の基地局が停波 | |
インターネット | 最大約2,710万軒が接続困難 | |
3日後 | 固定電話 | 約700万回線が不通継続 |
携帯電話 | 約60%の基地局が停波継続 | |
インターネット | 約1,900万軒が接続困難継続 | |
1週間後 | 固定電話 | 約400万回線が不通継続 |
携帯電話 | 約30%の基地局が停波継続 | |
インターネット | 約1,200万軒が接続困難継続 | |
1ヶ月後 | 固定電話 | 約100万回線が不通継続 |
携帯電話 | 約10%の基地局が停波継続 | |
インターネット | 約300万軒が接続困難継続 |
<復旧の課題>
- 電力復旧との相互依存関係
- 基地局バッテリーの持続時間(約72時間)
- 通信需要の急増によるアクセス集中
燃料の詳細復旧見通し
発災直後 | 製油所 | 太平洋沿岸の約70%が操業停止 |
油槽所 | 太平洋沿岸の約60%が機能停止 | |
ガソリンスタンド | 被災地の約80%が営業不能 | |
1週間後 | 製油所 | 約50%が操業停止継続 |
油槽所 | 約40%が機能停止継続 | |
ガソリンスタンド | 約60%が営業不能継続 | |
1ヶ月後 | 製油所 | 約20%が操業停止継続 |
油槽所 | 約15%が機能停止継続 | |
ガソリンスタンド | 約30%が営業不能継続 |
<復旧の課題>
- 港湾施設の被害による海上輸送の困難さ
- 道路寸断によるタンクローリーの通行困難
- 電力不足による給油ポンプの稼働停止
ライフラインの相互依存関係
<電力とその他ライフラインの関係>
- 水道:浄水場・配水ポンプの稼働に電力が必要
- ガス:製造設備・供給監視システムに電力が必要
- 通信:基地局・交換機・データセンターの稼働に電力が必要
- 燃料:製油所の操業・給油ポンプの稼働に電力が必要
<水道と他ライフラインの関係>
- 電力:発電所の冷却水に上水が必要
- ガス:製造過程で工業用水が必要
<燃料と他ライフラインの関係>
- 電力:火力発電所の燃料供給
- 通信:非常用発電機の燃料供給
- 復旧作業:復旧車両・重機の燃料供給
<通信と他ライフラインの関係>
- 電力:遠隔監視・制御システムに通信が必要
- ガス:供給監視システムに通信が必要
- 水道:配水監視システムに通信が必要
避難所の状況と課題
<避難所の収容能力>
- 全国の指定避難所数:約9万1,000箇所
- 収容可能人数:約3,500万人
- 被災地域の収容可能人数:約600万人(避難者予測950万人)
<避難所の環境>
- スペース:一人あたり約2㎡(国際基準の半分以下)
- トイレ:100人に1基程度(国際基準の1/5)
- 食料・水:発災直後は1日1~2食、3日目以降徐々に改善
<避難所生活の長期化による問題>
- エコノミークラス症候群:長時間の同じ姿勢による血栓形成
- 感染症:インフルエンザ、ノロウイルス等の集団感染リスク
- 持病の悪化:治療・投薬の中断による慢性疾患の悪化
- 心的ストレス:プライバシー欠如、騒音、将来への不安等
<要配慮者への対応>
- 高齢者:約300万人(避難者の約32%)
- 障害者:約90万人(避難者の約9%)
- 乳幼児:約50万人(避難者の約5%)
- 外国人:約30万人(避難者の約3%)
二次災害のリスク
<余震による被害>
- 本震後1週間:M7クラスの余震が数回発生する可能性
- 本震後1ヶ月:M6クラスの余震が数十回発生する可能性
- 半壊建物の全壊化、ブロック塀の倒壊、土砂災害の発生
<津波警報継続中の避難行動>
- 大津波警報・津波警報の発表期間:最長で72時間程度
- 避難の長期化による帰宅志向の高まり
- 警報解除前の帰宅による二次被害のリスク
<火災の発生と延焼>
- 出火件数:最大約2,500件
- 焼失棟数:最大約74万6,000棟
- 主な出火原因:電気火災、ガス漏れ、薬品類の混触、炊き出し時の火の不始末
- 延焼拡大要因:消防力の不足、道路閉塞による消防車両の到着遅延、消火栓の使用不能
<土砂災害>
- 土砂災害警戒区域内の避難者数:約100万人
- 地震による斜面崩壊:約6,000箇所
- 降雨による二次的な土砂災害:梅雨期・台風期に多発のリスク
<災害関連死>
- 阪神・淡路大震災:直接死5,502人に対し、関連死919人(約17%)
- 東日本大震災:直接死15,899人に対し、関連死3,775人(約24%)
- 主な原因:避難所等における肺炎・エコノミークラス症候群、持病の悪化、医療機関の機能停止による治療中断
長期的な復興プロセス
<応急仮設住宅>
- 必要戸数:最大約200万戸
- 建設可能戸数:約50万戸(用地確保の限界)
- 民間賃貸住宅の借上げ:約150万戸
- 入居期間:2~5年(阪神・淡路大震災や東日本大震災の実績)
<災害廃棄物>
- 発生量:約3億1,000万トン(東日本大震災の約15倍)
- 仮置場必要面積:約5,000ha(東京ドーム約1,070個分)
- 処理完了までの期間:約5~10年
<産業・経済への影響>
- GDPへの影響:最大約45兆円の減少(国内総生産の約8%)
- 雇用への影響:失業者約950万人の発生
- サプライチェーンの寸断:世界的な部品・製品の供給不足
- 観光業への影響:訪日外国人観光客の約80%減少(約2~3年継続)
<人口動態への影響>
- 被災地からの人口流出:最大約300万人
特に若年層の流出による高齢化の加速 - 集落・コミュニティの消滅:最大約1,000地区
<復興事業>
- 復興計画期間:約10年
- 復興事業費:約50~70兆円
- 主な事業:防災集団移転促進事業、土地区画整理事業、市街地再開発事業、道路・港湾等インフラ復興事業
愛知県扶桑町の被害予測
扶桑町の地理的特徴と脆弱性
- 位置:愛知県北西部
- 面積:約10.23km²
- 人口:約3万4,000人(2025年時点)
<地形>
- 木曽川流域の平坦地に位置
- 標高約20~30m
- 町の西側を木曽川が流れる
<地質>
- 沖積層が広く分布
- 木曽川沿いの地域は砂質土壌
- 液状化危険度が高い地域が点在
<都市構造>
- 住宅地と農地が混在
- 木造住宅が多い旧市街地
- 名古屋市のベッドタウンとしての性格
<交通>
- 名鉄犬山線が南北に通過
- 国道41号が町の東側を通過
想定される震度と地震動の特性
- <南海トラフ巨大地震(理論上最大想定モデル 陸側ケース)>
- 町の大部分:震度5強~6弱
- 町の南部の一部地域:震度6強
<地震動の特性>
- 継続時間:約2~3分間
- 周期:やや長周期の地震動を含む
- 液状化の可能性:木曽川沿いの地域で高い
<震度分布の特徴>
- 木曽川沿いの地域:相対的に震度が高い
- 町の東部:相対的に震度が低い
<過去の地震での震度>
1944年昭和東南海地震:震度5弱(推定)
建物被害予測
全壊・焼失建物数 | 揺れによる全壊 | 約200~300棟 |
液状化による全壊 | 約50~100棟 | |
火災による焼失 | 約20~50棟 | |
合計 | 約270~450棟(約2~4%) | |
半壊建物数 | 揺れによる半壊 | 約500~700棟 |
液状化による半壊 | 約100~200棟 | |
合計 | 約600~900棟(約5~8%) |
<建物種別の被害>
- 木造建物:被害率が高い(特に旧耐震基準の建物)
- 鉄筋コンクリート造:比較的被害は少ない
- 鉄骨造:中程度の被害
インフラ被害予測
<電力>
- 停電世帯数:最大約12,000世帯(約90%)
- 主な原因:送電線・配電線の損傷、変電設備の被害
- 復旧見通し:約1~2週間で大部分が復旧
<上水道>
- 断水世帯数:最大約11,000世帯(約85%)
- 主な原因:配水管の破損、浄水場の被害、電力停止
- 復旧見通し:約2~4週間で大部分が復旧
<下水道>
- 機能支障世帯数:最大約9,000世帯(約70%)
- 主な原因:管渠の破損、マンホールの浮上、ポンプ場の被害
- 復旧見通し:約3~6週間で大部分が復旧
<ガス>
- 供給停止世帯数:最大約8,000世帯(約60%)
- 主な原因:導管の破損、供給設備の被害
- 復旧見通し:約1~3ヶ月で大部分が復旧
<通信>
- 固定電話不通回線数:最大約5,000回線(約80%)
- 携帯電話基地局停波率:最大約90%
- 主な原因:通信ケーブルの損傷、基地局の電力喪失
- 復旧見通し:約1~3週間で大部分が復旧
交通インフラ被害予測
<道路>
- 国道41号:部分的な通行止め
- 県道・町道:約30%が通行困難
- 橋梁:木曽川に架かる橋の一部に損傷
- 復旧見通し:主要道路は約1週間、その他は約1ヶ月で大部分が復旧
<鉄道>
- 名鉄犬山線:線路変状、電化柱の傾斜等により運休
- 駅舎:扶桑駅、木津用水駅に一部損傷
- 復旧見通し:約2週間~1ヶ月で運転再開
人的被害予測
死者数 | 建物倒壊による死者 | 約5~15人 |
火災による死者 | 約1~5人 | |
合計 | 約6~20人 | |
負傷者数 | 重傷者 | 約20~40人 |
軽傷者 | 約100~200人 | |
合計 | 約120~240人 | |
要救助者数 | 自力脱出困難者 | 約30~60人 |
救助活動必要者 | 約20~40人 |
避難者数と避難所の詳細
<避難者数>
- 発災直後:約10,000人(人口の約30%)
- 1週間後:約8,000人(人口の約24%)
- 1ヶ月後:約5,000人(人口の約15%)
<避難所>
- 指定避難所数:15箇所
- 収容可能人数:約7,000人
- 主な避難所:扶桑町民体育館、扶桑町中央公民館、扶桑町立各小中学校
<福祉避難所>
- 指定施設数:3箇所
- 収容可能人数:約300人
- 対象者:高齢者、障害者、妊産婦等の要配慮者
ライフライン復旧の見通し
電力 | 3日後 | 約70%が復旧 |
1週間後 | 約85%が復旧 | |
2週間後 | 約95%が復旧 | |
上水道 | 1週間後 | 約40%が復旧 |
2週間後 | 約70%が復旧 | |
1ヶ月後 | 約95%が復旧 | |
下水道 | 2週間後 | 約50%が復旧 |
1ヶ月後 | 約80%が復旧 | |
2ヶ月後 | 約95%が復旧 | |
ガス | 1ヶ月後 | 約60%が復旧 |
2ヶ月後 | 約90%が復旧 | |
3ヶ月後 | 約100%が復旧 | |
通信 | 3日後 | 約50%が復旧 |
1週間後 | 約80%が復旧 | |
2週間後 | 約95%が復旧 |
町独自の防災対策の詳細
<ハード対策>
- 公共施設の耐震化率:約95%(2025年時点)
- 防災行政無線:デジタル化完了、屋外スピーカー25基設置
- 緊急避難場所:高台や津波避難ビル等15箇所を指定
- 備蓄倉庫:町内5箇所に設置、食料・水・毛布等を備蓄
<ソフト対策>
- 防災マップの作成・配布:全世帯に配布、定期的に更新
- 防災訓練:年2回実施(総合防災訓練、地区別訓練)
- 自主防災組織:町内全地区で組織化、活動支援
- 要配慮者支援:避難行動要支援者名簿の作成、個別計画の策定
<情報伝達体制>
- 防災行政無線
- 緊急速報メール
- 町公式ウェブサイト、SNS
- 広報車による巡回
- 自主防災組織を通じた情報伝達
防災対策
個人レベルでの備えの詳細
<建物の耐震対策>
- 耐震診断の実施:特に1981年以前の旧耐震基準の建物
- 耐震改修の実施:費用対効果の高い部分的補強も検討
- 家具の固定:転倒防止器具の設置、配置の見直し
- ガラスの飛散防止:飛散防止フィルムの貼付
<非常用備蓄>
- 食料:最低3日分、できれば1週間分(レトルト食品、缶詰等)
- 飲料水:1人1日3リットル×7日分
- 医薬品:常備薬、救急セット、マスク、消毒液
- 生活用品:携帯トイレ、ウェットティッシュ、生理用品等
- 防災用品:懐中電灯、携帯ラジオ、モバイルバッテリー等
<避難計画の策定>
- 避難場所・避難経路の確認:複数のルートを検討
- 家族との連絡手段の確保:災害用伝言ダイヤル(171)の使い方確認
- 集合場所の決定:家族が離ればなれになった場合の集合場所
- 要配慮者の避難支援計画:高齢者や障害者等の避難方法
<防災知識の習得>
- ハザードマップの確認:自宅周辺の災害リスクを把握
- 応急手当の習得:心肺蘇生法、止血法等の基本技術
- 防災訓練への参加:地域の防災訓練に積極的に参加
- 防災アプリの活用:気象情報、避難情報等の入手手段の確保
地域レベルでの備えの詳細
<自主防災組織の強化>
- 組織体制の整備:役割分担の明確化、リーダーの育成
- 防災資機材の整備:発電機、投光器、救助用具等の配備
- 防災マップの作成:地域特性を反映した詳細マップの作成
- 定期的な会合:月1回程度の定例会議の開催
<避難訓練の実施>
- 総合防災訓練:年1回以上の実施
- 図上訓練:災害シナリオに基づく対応検討
- 夜間訓練:夜間の避難経路確認
- 要配慮者参加型訓練:高齢者や障害者等も参加する訓練
<要配慮者の支援体制>
- 避難行動要支援者の把握:名簿の作成と定期的な更新
- 個別計画の策定:一人ひとりの状況に応じた避難計画
- 支援者の割り当て:複数の支援者を指定
- 福祉避難所との連携:受入体制の事前確認
<地域コミュニティの強化>
- 日常的な交流:防災をきっかけとした住民交流の促進
- 防災イベントの開催:防災フェア、防災キャンプ等
- 子どもの防災教育:学校と連携した防災教育の実施
- 事業者との連携:地域内の事業所との協力体制構築
行政レベルでの備えの詳細
<インフラの耐震化>
- 上下水道施設の耐震化:管路の更新、施設の補強
- 道路・橋梁の耐震化:緊急輸送道路の優先的整備
- 公共施設の耐震化:避難所となる施設の優先的整備
- 電力・通信施設の強化:無電柱化の推進
<迅速な復旧体制>
- BCP(業務継続計画)の策定:優先業務の明確化
- 資機材の備蓄:復旧に必要な資機材の事前確保
- 民間事業者との協定:復旧作業の協力体制構築
- 受援体制の整備:外部からの支援受入れ体制の構築
<広域連携体制>
- 自治体間の相互応援協定:人員・物資の相互支援
- 遠隔地との姉妹都市協定:被災地外からの支援確保
- 民間企業との災害協定:物資供給、輸送、復旧支援等
- ボランティア受入体制:災害ボランティアセンターの設置準備
<情報伝達体制の強化>
- 多様な伝達手段の確保:防災行政無線、SNS、アプリ等
- 要配慮者への情報伝達:多言語対応、視聴覚障害者対応
- 情報の一元管理:災害対策本部での情報集約・発信
- 訓練の実施:情報収集・伝達訓練の定期的実施
扶桑町に特化した防災対策の提言
<液状化対策>
- 液状化ハザードマップの詳細化:より精緻な危険度評価
- 公共施設の液状化対策:地盤改良、杭基礎の強化
- 住民への啓発:液状化リスクと対策の周知
- 上下水道管の耐震化:可とう性継手の採用
<木造住宅密集地域の対策>
- 耐震診断・改修の補助拡充:補助率・上限額の引き上げ
- 不燃化の促進:防火地域・準防火地域の指定拡大
- 細街路の拡幅:緊急車両の通行確保
- 防災空地の確保:オープンスペースの整備
<木曽川流域の治水対策>
- 堤防の強化:耐震性の向上
- 水門・樋門の耐震化:遠隔操作システムの導入
- 内水氾濫対策:排水ポンプ場の整備・強化
- 避難計画の充実:複合災害を想定した計画策定
<地域防災力の強化>
- 自主防災組織の活性化:若年層の参加促進
- 防災リーダーの育成:防災士資格取得支援
- 学校との連携:防災教育の充実、避難所運営訓練
- 事業所との連携:企業BCP策定支援、協力体制構築
まとめ
南海トラフ地震は今後30年以内に80%程度の確率で発生すると予測されており、日本全体に甚大な被害をもたらす可能性があります。最悪の場合、死者数は約32万3,000人、全壊・焼失建物は約238万6,000棟に達すると想定されています。
愛知県丹羽郡扶桑町においても、震度5強~6強の揺れが想定されており、建物被害やライフラインの途絶が予測されます。特に木曽川沿いの地域では液状化の危険性が高く、注意が必要です。
このような状況に備えるためには、個人、地域、行政それぞれのレベルでの対策が重要です。建物の耐震化や家具の固定、非常用食料・飲料水の備蓄、避難場所・避難経路の確認などの個人レベルの備えに加え、自主防災組織の強化や要配慮者の支援体制構築などの地域レベルの備え、そしてインフラの耐震化や迅速な復旧体制の整備などの行政レベルの備えが必要です。
南海トラフ地震は「いつ起きてもおかしくない」状況です。日頃からの備えと心構えが、被害を最小限に抑えることにつながります。
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