第18話 どうしても叶わない想い！
44年の人生を通じて、『あいつ』に出逢えたことは、一生の想い出となった。
一生忘れられない『想い人』。
出逢ってからの2年間、時間を共有することができた。
できれば、もっと共有したかったけど、それが運命だと受け入れた。
『あいつ』と離れ離れとなり、32年が経った。
この歳になって、1回分の賞与を使い、『あいつ』を探した。
そして、地元の下関で家庭を築いていることが分かった。
『あいつ』から連絡を受け取ることができた。
あれから、返事を待つこと3ヶ月。
音信不通となった『あいつ』に、私は執着していた。
体調を崩し、長期休暇中の心の拠り所が『あいつ』だったから。
お互いに別々の人生を歩みながら、繋がったことが嬉しかった。
それでも、もう交わることはないだろう。
『あいつ』が幸せなら、それでいいと思えるようになった。
今日、『あいつ』から受け取ったショートメールを消すことにした。
執着してしまった私は、いつも『あいつ』からの返事を待っていた。
来ることのない返事を、いつまでも待つわけにはいかない。
だから、メールを消去した。
でも、忘れることはない。
『あいつ』のことを描くのは、これを最後にしようと決めた。
私の心の中には、『あいつ』はこれからも生き続けるのだから。
もし、奇跡が起きて、あいつから連絡が来たとしたら．．．。
あいつに再会することができたならば．．．。
また描き始めるかも知れない。
その時は．．．、今より幸せになっているに違いない。
そう信じて、幕を閉じることにした。
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30年以上前に、離れ離れとなったあいつを探し出してくれた「さくら幸子探偵事務所」
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