【日本の生成AI利用率が26.7%に上昇】
それでも米中に遅れている現実
近年、急速な進化を遂げている生成AIは、私たちの生活やビジネスに浸透しつつあります。
しかし、その普及状況は国によって大きく異なり、特に日本は米国や中国といったAI先進国に比べて、相変わらず利用率がかなり低いというのが現実です。
本記事では、日本の生成AI利用率の現状を確認し、米中との比較を通じて、その背景にある要因と今後の展望について考察します。
【国別個人利用率】
中国 | 81.2% |
米国 | 68.8% |
ドイツ | 59.2% |
日本 | 26.7% |
【日本年齢別個人利用率】
20代 | 44.7% |
30代 | 23.8% |
40代 | 29.6% |
50代 | 19.9% |
60代 | 15.5% |
【国別企業利用率】
中国 | 95.8% |
米国 | 90.6% |
ドイツ | 90.3% |
日本 | 55.2% |
日本の生成AI利用率の現状
個人の生成AI利用率
総務省が発表した「情報通信白書2025」によると、2024年度時点で生成AI(ChatGPTなど)の利用経験がある日本人の割合は『26.7%』に達しました。2023年の約3倍に増加した結果であり、日本でも生成AIへの関心が高まっていると受け取ることができます。
しかし、この数字は国際的な水準と比較すると、依然として低いのが現状です。
2023年 | 9.1% |
2024年 | 26.7% |

日本リサーチセンターのデータでは、2025年3月時点で、『20~69歳の生成AI利用率が27.0%』と報告されており、2023年3月の3.4%から約8倍に増加したことが示されています。
2023年 | 3.4% |
2024年 | 27.0% |
BCGの調査では、生成AIの日常的な利用率は世界平均の72%に対し、日本は51%と低迷していると指摘されています。調査対象や定義によって数値にばらつきがあるものの、全体的に他国に比べて利用が進んでいない傾向が見られます。
世界平均 | 日本 |
72% | 51% |
企業の生成AI利用率
日本企業の生成AI導入状況をみると、MM総研の調査では導入率が19%、帝国データバンクの調査では17.3%の日本企業が生成AIを活用していると報告されています。
特定の業種では利用が進んでおり、情報通信業では35.1%、金融・保険業では29.0%の企業が生成AIを導入・活用しています。
総務省の調査では、「メールや議事録、資料作成等の補助」といった具体的な業務に生成AIを使用していると回答した企業の割合は46.8%に上ります。
しかし、インディードリクルーティングの調査によると、生成AIが自身の業務に導入済みであると答えた人の割合は、米国では7~9割であるのに対し、日本では3~4割にとどまっており、企業における生成AIの本格的な活用はまだ道半ばです。
米国と中国の生成AI利用率
米国の生成AI利用率
米国では、生成AIの普及が急速に進んでいます。総務省「情報通信白書2025」によると、個人の生成AI利用経験がある人の割合は『68.8%』と、日本の26.7%を大きく上回っています。
2024年8月時点の調査では、18~64歳の米国人口の『39.4%』が生成AIを使用しており、そのうち28.0%が仕事で使用していると報告されています。
「生成AIに馴染みがある」と回答した成人は『93%』に達し、高い関心と認知度を示しています。
企業においても、業務に生成AIを導入済みと回答した人の割合は7~9割と非常に高く、PwC Japanグループの調査では、米国企業の『91%以上』が生成AI活用を積極的に推進していることが明らかになっています。
中国の生成AI利用率
中国は、生成AIの利用において世界をリードする存在です。総務省「情報通信白書2025」によると、個人の生成AI利用経験がある人の割合は驚異の『81.2%』に達しています。
日本や米国を大きく引き離す数値です。
企業利用率も極めて高く、日経中文網の報道によると、中国の企業利用率は『95.8%』です。
2024年6月時点では、中国の生成AI製品のユーザー規模は2.3億人に達し、職場でのAIツール使用率は『93%』というデータもあります。
中国の回答者の83%が生成AIを既に採用していると回答しており、これは英国(70%)や米国(65%)を上回る結果となっています。
日本が生成AIの普及で遅れている要因と背景
日本が生成AIの普及において米国や中国に大きく遅れている背景には、複数の要因が絡み合っていると考えられます。
文化・意識
新しい技術に対する慎重な姿勢や、変化への抵抗感が影響している可能性があります。
AIに対する漠然とした不安や、「仕事がAIに奪われるのではないか」といった懸念が他国より強い傾向にあることも指摘されています。このような意識が、生成AIの積極的な導入や利用を妨げている一因になっているかもしれません。
教育・リテラシー
生成AIの活用方法やメリットに関する情報提供、使いこなすための教育が不足しています。デジタルリテラシー全般の格差が、生成AIの普及に影響していると思われます。企業内でのトレーニングや、一般市民向けの学習機会の拡充が求められます。
企業文化・投資
日本企業におけるデジタルトランスフォーメーション(DX)の遅れが、生成AIの導入にも影響を及ぼしているかもしれません。生成AIへの投資や、社内での実証実験(PoC)の推進が他国に比べて遅れている現状があります。特に中小企業においては、コストや人材不足といった導入に対する障害が大きいことも課題です。
法規制・ガイドライン
生成AIに関する法規制や倫理ガイドラインの整備が途上であることも、企業が導入に二の足を踏む要因となっており、法的な不確実性が企業のリスク回避的な行動につながっていると考えられます。明確なルール作りが、安心して生成AIを活用できる環境を整える上で不可欠です。
言語の壁
多くの高性能な生成AIモデルが英語圏で開発されているため、日本語での利用における精度や利便性に課題があることも無視できません。日本語特有の表現や文化的なニュアンスを理解し、自然な形でアウトプットできるモデルの登場が待たれます。
日本の生成AI普及におけるポジティブな側面
課題が多い一方で、日本の生成AI普及にはいくつかのポジティブな側面もみられます。
個人利用の急増
2024年度の個人利用率26.7%は、前年の3倍に急増した数値であり、生成AIに対する国民の関心が急速に高まっています。今後、さらに普及していくと予想されます。
若年層の高い利用率
20代の生成AI利用率は44.7%と比較的高く、若い世代を中心に生成AIの利用が浸透しつつあります。若い世代が社会の中核を担うようになるにつれて、生成AIの活用はさらに加速していくと期待されます。
特定の業務での活用
メール作成や議事録作成補助など、業務において生成AIが活用されている事例が多く見られます。生成AIが特定の業務効率化に貢献できる認識が深まり、今後、幅広い業務に応用が進むでしょう。
まとめ
日本の生成AI利用率は、個人・企業ともに米国や中国といったAI先進国に大きく遅れを取っているのが現状です。
この背景には、
- 文化的な要因
- 教育・リテラシーの不足
- 企業文化
- 法規制
- 言語の壁
など、複数の要因が絡み合っていると考えられます。その中で、個人利用の急増や若年層の高い利用率、特定の業務での活用といったポジティブな兆候も見られます。
今後、日本が生成AIの恩恵を最大限に享受し、国際競争力を維持・向上させていくためには、課題を克服し、生成AIの社会実装を加速させるための具体的な戦略が不可欠です。政府、企業、教育機関、個人が一体になって、生成AIに対する理解を深め、積極的に活用していく環境を整備することが、日本の未来を切り拓いていくでしょう。
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