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【歴史小説シリーズ】三国志 第一話⑨ 新任の董卓

三国志 小説三国志

三国志 第一話⑨ 新任の董卓

 「おぉっ、玄徳・・・。」

 「盧植先生!これはいったい・・・。」

 「わしは、張角を取り囲み、追い詰めるところまではいったのだが、どうしても打ち破れずに
 おったのじゃ。このような大事な時に、朝廷から黄門の左豊が軍事視察に遣わされ、わしに賄賂
 を求めてきよった!」

 「なんと!」

 「それでわしは、『兵糧すら不足しておるというのに、献上するものなどない!』と断固拒否
 したのだが、左豊のやつがわしが怠慢であると朝廷に奏上しよった故、中郎将の董卓と代わり、
 わしは都に呼び戻されて罪を問われることになったのじゃ。」


 それを聞いていた張飛が真っ赤な顔で怒り、護衛の兵士に斬りかかり、盧植を救おうとすると、
 「朝廷にも公平な人物がいるに違いない。翼徳、今は堪えるんだ!」
 劉備が急いで張飛を引き止めると、兵士たちは急いで盧植を連れて立ち去った。

 関羽は少し考えて、
 「兄者。盧植殿がいない今、我らには頼みとできる人物はおりません。ここは一旦、涿県に
 戻っては どうでしょう?」
 「玄徳兄者、俺もそうすべきだと。」
 劉備は同意して、軍勢を北上させることにした。

 帰路について二日目のこと。
 突然、大きな喚声が上がったため、劉備らは丘の上を駆け上がって眺め下す。
 すると官軍が黄巾賊に散々と攻め立てられて、打ち崩されている。

 

 黄巾賊の大軍の中に、「天公将軍」と書かれた大旗が見えた。
 「あれは、張角!蹴散らしてくれる!」
 劉備が号令をかけると、関羽と張飛と共に馬を飛ばし、軍勢を率いて討って出た。
 官軍を率いていた董卓は、張角率いる黄巾賊の勢いに押され、追い打ちをかけられている。

 

 

 

 

 

 

 劉備ら軍勢は、黄巾賊の横合いから切り込んで散々に蹴散らし、黄巾賊を五十里余り敗走させた。
 救われた董卓は劉備を呼び、官職を尋ねた。
 劉備は、
 「まだ何の官職もいただいておりません。」
 そう聞くと、手の平を返したように三人を無下に扱い、董卓は礼もしなかった。

 劉備が引き下がろうとすると、張飛は怒り、
 「我らが命懸けで救ってやったにもかかわらず、無礼にもほどがある。叩き斬ってやらねぇと俺
 の腹の虫が納まらん!!!」
 そう怒鳴ると、張飛は刀を手に取り、董卓に斬りかかろうとしている。

 

 正に、権勢に目のない者に、英雄は見えぬといったところ。
 張飛に斬りかかられそうになっている董卓の命はどうなるか。
 それは次回で。

第二話①

【歴史小説シリーズ】三国志 第二話① 黄巾の乱鎮圧
張飛は激高し、刀を振りかざし、董卓に斬りかかろうとしている。この董卓、字は仲頴といい、河東郡の太守である。「あの者は、おかみに仕える役人だ。やめるんだ、翼徳!」 「玄徳兄者、あんな奴を生かせておけば、この先、あいつに従わねばならん!俺にはそんなことはできん!兄者たちがここに留まるなら、俺は出て往く!」

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 閲覧ありがとうございました。

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