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【if】~もう少しだけアイツと一緒にいられたら~ 第15話

もう少しだけアイツと一緒にいられたら 小説

【if】~もう少しだけアイツと一緒にいられたら~ 第15話

国道2号線沿いに自転車を走らせるアイツと俺。
いつもと同じように他愛もない話をしながら、三原駅を目指した。
駅前の天満屋に着き、自転車置き場に自転車を置いた後、店内に入った。

まず向かうのは、スポーツ用品売り場だ。
ランニングシューズ、ソックス、Tシャツ、ジャージと欲しいものはたくさんある。
目的のシューズコーナーに向かい、お互い自分のものを
選んだ。

ひと通り見た後、俺はミズノかアシックスで迷っていた。
「ちょっと、試着してみるわ。」
ふたりとも良さそうなシューズを手に取り、履いてみる。

俺が靴を履こうとしたとき、
「緒川って、足デカいんじゃね。チビのくせに。」
「チビって言うなよ。すぐ追い抜いてやるけぇ。」
「身長、伸びて来たじゃろ。」
「友野もじゃろ。」

アイツより10cmほど背の低かった俺ではあるが、手足は大きかった。
俺が生まれた時、手足の大きい子だと、両親からも言われていた。
中学生になって、さらに手足は大きくなっているようだ。

欲しいものはたくさんあるのだが、お金はない。
ランニングシューズとソックスだけを買って、スポーツ用品売り場を出た。

              

 

「服でも見に行かん?」
「えぇよ。」
手持ちのお金を気にしながら、服コーナーに向かった。

俺はファッションに疎く、あまり自分で服を選んで買った記憶がない。
それだけに、自分のファッションセンスなんて考えてこなかった。
思春期になっていた俺は、やはり女子にモテたい。
出来れば、アイツと...。

服コーナーに着くと、アイツのテンションが上がっていることに気付いた。
「(アイツも女なんだなぁ)」
と思いながら、アイツを見ていた。

「イイのないかなぁ~。」
あちこち物色しているアイツ。
あまり興味のない俺は、アイツの後ろを着いて行くだけ。

「これ、イイじゃろ。」
「えぇと思うけど。」
「緒川はどれにするん?」
「どれがえぇじゃろぉー?」

少ない小遣いで、アイツに選んでもらったシャツを1着買った。
それから、雑貨コーナーや書店とあちこち回って買い物をした後、店内から出た。

「どこ行く?」
「どこでもえぇよ。」
あてもなく、アイツと横並びで、駅前を歩いていく。

駅前をフラフラしながら、何となく駅裏の本丸跡に行った。
運良く、誰もいない。
アイツとふたりきりの状況になった。

意識して照れくさくなった俺とは打って変わって、アイツはいつも通り。
ベンチに座り、買ったシューズを箱から取り出し、紐を通していく。
履き心地を確認しながら、

「なんか速く走れる気がするわぁ。」 
「あんなボロボロのシューズでよう走っとったね。」
そんな会話をしながら、時間が経つのは早かった。 

帰り道。
期待とは裏腹に、何の進展もないアイツと俺。
もどかしい気持ちもあるが、いつも通りのアイツと過ごした時間が心地良かった。
「いつか、きっと」
心の中で、そんなことを考えながら、一緒に過ごした時間に感謝した。

 

朝6時に起き、朝食を食べた後、朝練に出るために登校した。
アイツのアパートの前を通り、国道2号線沿いに学校に向かう。
校門を通り、部室へと向かうと、アイツに会った。

「おはよう。」
「おッス。」
「新しいシューズ持ってきたん?」
「おぅ、持ってきた。」
部室で着替えた後、新しいシューズを履き、グラウンドに出た。

今週末は、体育祭がある。
出場する100m走と男女混合リレーで良いところを見せたい。
新しいシューズで心機一転、体育祭での活躍を決意する。
果たして、活躍できたのか?

それは、次回で。

 

第16話

【if】~もう少しだけアイツと一緒にいられたら~ 第16話
新しいランニングシューズを手に、部室に入った。「おはようさんですっ!」「オッス!シューズ買うたんか?」昨日買ったばかりのシューズを見せながら、「はい、これッス!」「アシックスにしたんか。えぇなぁ。」カバンを棚に置き、体操服に着替えた。そして、真新しいシューズを履き、部室を出た。

 閲覧ありがとうございました。

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