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【if】~もう少しだけアイツと一緒にいられたら~ 第1話

アイツ 小説

【if】~もう少しだけアイツと一緒にいられたら~ 第1話

 人生で一番楽しかったのは、いつのことだろう。
 それは、好きな子がいて、親友がいて、楽しくて仕方のなかった小学生時代だ。
 あのまま同じ中学校に進学していれば、どんな学生生活を送ったのかと今でも思ってしまう。
 小学校卒業と同時に愛知に引っ越してしまった私には、それは叶わなかった。

 

 あの頃の私からは想像もできなかった。
 40代も半ばとなり、今でも独身で、実家住まい。
 友人は皆、結婚して、疎遠になっていた。

 20年間、エンジニアとしてサラリーマン生活を送ったが、今はうつ病で休職。
 職場復帰する目途の立たない日々を過ごしていた。

 

 うつ病が再発する1ヶ月ほど前の話。
 小学生だった頃に好きだったアイツが夢に何度も出てきた。
 小学校の卒業式以来、アイツ
とは逢っていない。
 30年も前のことを夢にみるなんて。
 そう思いながらも、夢で何度も出てくるあいつのことが気になった。

 

 今、どこで何をしているのだろうか...?
 音信不通で消息の分からないアイツ。
 どうすることも出来ないまま、会社と家を往復する毎日。

 そんなとき、探偵事務所のネット広告が目に入った。
 浮気調査に人探し、相談無料。
 どうしても気になる私は、探偵事務所にあいつを探してもらうことにした。

 

 そして、アイツを探し出してもらい、アイツからショートメールが届いた。
 既婚女性となっていたアイツ。
 連絡を取り合いたい気持ちで返信したのだが、返事はくれなかった。

 なぜ連絡をくれたのだろう?
 なぜ返事をくれないのだろう?
 そんなことを考えながら半年が過ぎた。

 

 いろいろと考えることがあった。
 なかなか良くならない病気。
 そして、連絡をくれないアイツのこと。

 考え込んだことで生活が乱れ、眠れない夜が続いた。
 昼夜が逆転した生活を送り、夜中に活動し、昼間に寝る。

 そんな生活を変えるため、一日徹夜して過ごした。
 そして、夜を迎え、私は深い眠りについた。

 

 朝、目を覚ました私は、自分の部屋の窓から瀬戸内海を眺めた。
 「今日はいい天気だな。」

 1階のリビングから父の声が聞こえてきた。
 「転勤の話が無くなった...。」
 両親の故郷である愛知に転勤する話だったのだが、会社は認めてくれなかったらしい。
 「引っ越しは?」
 私が聞くと、父は残念そうに、
 「引っ越せなくなった」

 

 私はとにかく嬉しかった。
 アイツと離れ離れにならなくていい。
 小学校6年生の2学期も残り僅かの頃だった。

 3学期となり、宿題やテストが多い中、卒業アルバムの写真撮影や卒業式の練習が始まる。
 中学校進学が視野に入ってきたことで、ちょっとした緊張感がある。
 友達との学生生活を楽しみながら、少し離れたところから、あいつを見ていた。
 そして、小学校の卒業式を迎えることができた。

 

 卒業式を終えた春休み。
 学生服やかばんの揃え、中学校生活に備えた。
 勉強頑張らないとな。
 部活は陸上部に入りたいな。

 そして、中学校の入学式の日を迎える。
 セーラー服に身を包んだアイツを想像しながら、
中学校生活に胸を膨らませた。

 

 これから、アイツとの中学校生活が始まる。

 

第2話

【if】~もう少しだけアイツと一緒にいられたら~ 第2話
今日から中学校生活が始まる。いつもより早く目が覚めた朝。転校することが無くなり、あいつやみんなと同じ中学に行ける。着慣れない学生服に袖を通し、身支度を済ませて家を出た。身長が伸びることを想定したブカブカの学生服。履き慣れない学生シューズに、持ち慣れない学生かばん。全てが新鮮な1日。

 閲覧ありがとうございました。

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  中年独身男のお役立ち情報局
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