PR
この記事が気に入ったら
いいね!しよう
最新情報をお届けします。

【小説】if ~もう少しだけアイツと一緒にいられたら~ 第1話

恋愛小説

【恋愛小説?】if~もう少しだけあいつと一緒に居られたら~ 第1話

 気が付けば40代も半ばとなり、今現在も独身で、実家に住んでいる私。
 友人はみな結婚し、疎遠になっていった。
 私自身は結婚に縁がなく、好きな事をして過ごしてきた。
 ゲームをしたり、
クルマを改造したり、歴史関係の書籍を読み漁り、史跡をクルマで巡ったり。
 刺激を求めてパチスロを始めたり。
 それ相応の給料と貯蓄があり、ある程度は好きな事が出来る。
 両親は年老いたものの、今も元気にしている。
 今の生活に大きな不満はないのだが...。
 不安はたくさんある。

 

 今の私は、会社組織や職場の人間関係に疲れ、うつ病で会社を休んでいる。
 毎週、心療内科に通院。
 毎月、診断書と傷病手当の書類を会社に提出。
 なかなか良くならず、3ヶ月が経った。
 今後、私はどうなってしまうのだろうか?
 そんな不安を抱えながら、20年間のサラリーマン生活を振り返った。

 

 父親の希望で、大学院に進学したものの、大企業への就職は叶わず、岐阜の山中にある中小企業
 に就職した。
 3年間の機械エンジニアを経験した後、品質管理部に異動になった私は、品質不具合の対応で、
 社内外を奔走して心身共に疲弊していた。
 このまま、この会社にやっていけるのか?
 そんな疑問を抱えている時、大学院時代の友人は転職活動をしていた。
 友人の話を聞き、私も転職サイトに登録して準備を進めた。
 仕事で疲れた状態での転職活動が思うように進まず、精神的に追い込まれたこともあり、
 年内で会社を退職することにした。

 

 運良く、3ヶ月ほどで大企業への再就職が決まり、配属された品質保証部で、年配の上司に
 かわいがってもらった。
 仕事内容は、品質不具合の対応で大変ではあったものの、仕事にやりがいを感じていた。
 時は流れ、年配の上司は定年を迎え、人員配置は大きく変化した。
 業務の負担は大きくなり、合わない上司や顧客に振り回された私は、うつ病を患い、長期休み
 を余儀なくされた。
 理不尽な話が社内外で飛び交い、これ以上会社に居られない状態となった私は、8年間務めた
 会社を退職しようとしたが、他部署への異動が決まり、会社に残ることにした。

 

 異動した部署は、外から見ているより酷い組織だった。
 新天地という新鮮さはなく、退職しておけば良かったと後悔した。
 うつ病を患った私に、贅沢なことを言うことはできず、この部署で8年間耐え忍んだ結果、
 今回が
4回目の長期休みとなった。
 傷病手当金をもらいながら、心身を休め、先のことを考える必要があった。
 
もはや私には、会社に戻る気はない。
 20年間のサラリーマン生活に終止符を打つことに決めた。

 

 うつ病で会社を休む1ヶ月ほど前の話。
 小学生だった頃に好きだったあいつの夢を何度かみた。
 卒業と同時に引っ越した私は、小学校の卒業式以来、
あいつとは逢っていない。
 30年も前のことを夢にみるなんて。
 そう思いながらも、夢で何度も出てくるあいつのことが気になった。
 今、どこで何をしているのだろうか...?
 消息の分からないあいつ。
 どうすることも出来ないまま、会社と家を往復する毎日。
 そんなとき、探偵事務所のネット広告が目に入った。
 浮気調査に人探し、相談無料。
 どうしても気になる私は、探偵事務所にあいつを探してもらうことにした。
 そして、あいつを探し出してもらい、あいつからショートメールが届いた。
 既婚女性となっていたあいつ。
 連絡を取り合いたい気持ちで返信したのだが、それ以来、音信不通になった。

 

 なぜ連絡をくれたのだろう?
 なぜ返事をくれないのだろう?
 そんなことを考えながら3ヶ月が経った。
 いろいろ考えることがあった。
 なかなか良くならない病気。
 会社を辞めた後のこと。
 そして、連絡をくれないあいつ。
 考え込んだことで生活が乱れ、眠れない夜が続いた。
 普段、全くお酒を呑まない私は、コンビニで煙草とワインボトルを買った。
 YouTubeを見ながら、ワインをラッパ飲み。
 次第に酔っていく。
 ワインを呑み干した後、ベロベロになり、ベッドに倒れ込むように眠った。

 

 朝、目を覚ました私は、窓から瀬戸内海を眺めた。
 「今日はいい天気だな。」
 1階のリビングから父の声が聞こえてきた。
 「転勤の話が無くなった...。」
 両親の故郷である愛知に転勤する話だったのだが、会社は認めてくれなかったらしい。
 「引っ越しは?」
 私が聞くと、父は残念そうに、
 「引っ越せなくなった」
 私は嬉しくて仕方がなかった。
 あいつと離れ離れにならなくて済むんだ。
 卒業式を終えた春休み。
 学生服やかばんの揃え、中学校生活に備えた。
 そして、入学式の日。
 セーラー服に身を包んだあいつがいた。
 これから、あいつとの中学校生活が始まる。
 

 

第2話はこちら↓

【小説】if ~もう少しだけアイツと一緒にいられたら~ 第2話
今日から中学校生活が始まる。いつもより早く目が覚めた朝。転校することが無くなり、あいつやみんなと同じ中学に行ける。着慣れない学生服に袖を通し、身支度を済ませて家を出た。身長が伸びることを想定したブカブカの学生服。履き慣れない学生シューズに、持ち慣れない学生かばん。全てが新鮮な1日。

 閲覧ありがとうございました。

*****************
  中年独身男のお役立ち情報局
  Friends-Accept by 尾河吉満
*****************

タイトルとURLをコピーしました