【RaQMって何?】
量子力学の常識をくつがえす有理量子力学を解説
「量子コンピュータでRSA暗号は破られない?」
最近、「量子コンピュータが実用化されたら、世の中のパスワードや暗号(RSA暗号)が全部筒抜けになっちゃう!」という話をよく耳にします。
しかし、2026年3月に発表された大発見が、その常識を根底からひっくり返そうとしています。
そこで本記事では、RaQM(Rational Quantum Mechanics:有理量子力学)について解説していきます。
そもそも量子力学(QM)って何だっけ?
RaQMの話をする前に、超ざっくりと「普通の量子力学(quantum mechanics;QM)」をおさらいしましょう。
量子力学の世界では、ミクロな物質(電子や光の粒など)は、私たちが普段見ている世界とは全く違う奇妙な動きをします。有名なのが「シュレーディンガーの猫」の思考実験ですね。「箱を開けて観測するまでは、猫が生きている状態と死んでいる状態が『重なり合って』同時に存在している」という、なんだかSF映画みたいな話です。
量子力学は、この「重なり合い」を利用して無限に近い計算力を引き出そうとする量子コンピュータの基礎となる理論でもあります。
RaQMの誕生 ― オックスフォード大学のパーマー教授
しかし、量子力学には100年近く物理学者を悩ませてきた「どうしてそんな奇妙な動きになるの?」という謎がありました。
そこに切り込んだのが、オックスフォード大学の名誉教授、ティム・パーマーです。気候変動やカオス理論の専門家でもありますが、今回『Proceedings of the National Academy of Sciences (PNAS)』という超権威ある雑誌で「有理量子力学(RaQM)」という新理論を発表しました。
RaQMの3つの核心アイデア
「自然は連続体を嫌う」
RaQMを理解する最大のキーワードがこれです。パーマー教授はこう言いました。
従来の量子力学は、「無限に続く連続的な空間(ヒルベルト空間)」を前提として計算していました。しかし、パーマーや偉大な数学者ダフィット・ヒルベルトは「現実の物理世界に『無限』なんてものは存在しないんじゃないか?」と考えました。
「有理数」だけで世界を記述する
数学が苦手な方、安心してください!難しくありません。
有理数(離散の世界):1/2 や 3/4 のように、整数の比でスッキリ表せる、有限の情報量で済むもの。
RaQMは、「宇宙は無理数のような無限の情報を持てない。だから『有理数』の範囲だけで量子状態を定義しよう!」と提案しました。これが「Rational(有理)」Quantum Mechanicsの名前の由来です。
ヒルベルト空間の離散化と重力の関係
では、なぜ宇宙は「離散的(つぶつぶ)」なのでしょうか?
パーマーは、その理由を「重力」に求めています。重力があることで、宇宙の空間そのものが極限までズームすると「連続した滑らかな布」ではなく、「レゴブロックのような細かい粒の集まり」になっているというのです。
RaQM (離散・有理数):ピクセルのように最小単位がある(有理数・離散)
シュレーディンガー方程式は変えない、舞台装置だけを変える
RaQMのすごいところは、これまでの物理学者が大事にしてきた「シュレーディンガー方程式」という超重要な計算式をいっさい書き換えない点です。
式(ルール)はそのままに、それを計算する舞台(空間の前提)だけを「無限」から「有限」に置き換えたのです。
量子コンピュータの「ハードシーリング(硬い天井)」とは
ここからが、ITやテクノロジーに直結するワクワクする話です。
宇宙が保持できる情報量が「有限」であるなら、量子コンピュータが扱える情報(量子ビット)にも物理的な上限が存在することになります。無限に性能がアップすると思われていた量子コンピュータに自然の法則によるストップがかかるのです。
| システム方式 | 予測される上限値(目安) |
| 量子ドット | 約200量子ビット |
| 光子 | 約300量子ビット |
| イオントラップ | 約400量子ビット |
| 究極の物理的限界 | 1000量子ビットを超えない |
RSA暗号は本当に安全になるのか?
2048ビットのRSA暗号(現在広く使われているネットセキュリティ)を解読するための「ショアのアルゴリズム」を実行するには、数千〜数万の完璧な量子ビットが必要だと言われています。
しかしRaQMによれば、1000量子ビットに達する前に宇宙の情報容量の限界(エラー)にぶつかってしまう。つまり、技術力やエンジニアリングの問題ではなく、「物理法則によって解読が禁止されている」ということになります。私たちのパスワードは、宇宙の法則に守られていたのかもしれません。
シュレーディンガーの猫はもう「生きながら死んでいない」
RaQMの世界では、量子状態は有限のビット列(0と1の連続)として定義されます。そのため、「観測するまで現実が存在しない」といったオカルトチックな解釈を避けることができます。
パーマーは「RaQMでは、猫はもはや同時に生きていると同時に死んでいるわけではない」と明言しています。物理学が人間の直感に近い「現実味」を取り戻しつつあります。
ベルの不等式と「ホーリスティック(全体論的)な実在」
「アインシュタインが間違っていた」とよく言われる『ベルの不等式の破れ』についても、RaQMは新しい解釈を与えます。
宇宙の端と端で瞬時に情報が伝わる(非局所性)という不気味な現象ではなく、宇宙全体がフラクタル(どこを切り取っても同じ構造)な一つの巨大なシステムとして動いているという「ホーリズム(全体論)」な考え方です。
【RaQMは検証できるのか?】5年以内に決着
「そんなの机上の空論じゃないの?」と思うかもしれませんが、パーマーの論文によれば、この理論は5年以内に実験で検証可能だそうです。
量子コンピュータの開発が進み、数百量子ビットの段階で予測通りに計算がストップ(飽和)すれば、RaQMが正しいことの証拠になります。
デザイナー視点で見る「離散と連続」
私は現在グラフィックデザインを学んでいますが、この話を読んだとき、真っ先に「ピクセルとベクター」の違いを思い浮かべました。
- 従来の量子力学(連続)=ベクター画像(Illustratorなど):いくら拡大しても滑らかで、無限の解像度を持っている。
- RaQM(離散)=ピクセル画像(Photoshopなど):一見滑らかに見えるけど、限界まで拡大すると四角いドット(ピクセル)の集まりで出来ている。
物理学者ジョン・ホイーラーは、「it from bit(すべての物質は情報・ビットから生じる)」と言いましたが、宇宙全体が、巨大で高精細なビットマップ画像(ピクセルの集まり)だと考えると、親近感が湧いてきませんか?
もし正しければ物理学100年の謎が解ける
RaQM(有理量子力学)は、まだまだ発表されたばかりの新しい理論です。
宇宙は無限の連続体ではなく、有限の離散的な情報(有理数)でできている。
そのため、量子コンピュータの計算力には物理的な「限界の天井」がある。
結果として、RSA暗号は安全かもしれない。
この仮説が正しいかどうか、数年後の量子コンピュータの実験結果が待ち遠しいですね。
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