【if】~もう少しだけアイツと一緒にいられたら~ 第17話
校門で会ったアイツと下駄箱に向かい、上履きに履き替えて、教室に向かった。
「調子どうなん?」
「おぉ、ええよ。」
「緒川、コケんなよw」
「オマエもなw」
階段を登りながら、茶化し合っていた。
教室に向かう廊下で声を掛けられた。
「おはよう!」
ポニーテールの女子だった。
「(あんな子おったじゃろうか?)」
見かけない女子に、
「山本さん、おはよぉ!」
アイツの友達のようだ。
「(あんな可愛い子がおったんじゃな)」
そう思いながら、
「オッス!」
少し照れながら、格好つけて言った。
「ふたりは仲ええんじゃね。」
「そがいなことないよ。小学校からの腐れ縁じゃけぇ。」
「そうなん?よう一緒におるよね。」
その子と話をしているうちに、アイツはもう教室に入っていた。
「友野、あの子の友達なん?」
「陸上部じゃろぉ。」
「知らんかったわ。名前何て言うん?」
「綾乃。走り幅跳びしよるんよ。」
「へぇ〜...。」
「もう先生来るけぇ、早う席に着きんさいよ。」
アイツにイイところを見せると意気込んだ体育大会。
まさかあんな可愛い子が同学年にいたとは思っていなかった。
体操服に着替え、運動場に向かう途中、あの子を見かけた。
「(ヤバい、めっちゃ可愛いじゃん!)」
そう思ってみていると、俺に気付いて、話しかけてきた。
「緒川君は、何に出るん?」
「100mと混合リレーじゃよ。山本さんは?」
「ウチは走り幅跳びに出るんよ。」
アイツ以外で気になったのは、初めてだった。
校長先生の挨拶も聞かず、あの子のことを考えていた。
「(ぶちモテるんじゃろぉ~な~。)」
そんなことを考えているうちに、校長先生の挨拶は終わり、体育大会が始まった。
「何しとるん?100m始まるじゃろぉ!」
「おぉ、集中しとったんよ。」
「早う行かんと!」
強い口調のアイツは見たことがない。
急いで、100m走のトラックへ急いだ。
スターティングブロックの準備をして、スタートに備える。
俺と走るのは、不運にも野球部やサッカー部で足の速いメンバーばかりだった。
そして...、スタート。
俺はスタートダッシュを決め、5人が接戦となった。
中盤まではいい勝負であったものの、最後は何とか2位になった。
精一杯の2位だった。
悔しい気持ちはあるのだが、チビの俺に比べて10cm以上身長の高い連中相手に大健闘だった。
次は女子の番だ。
アイツに緊張した様子は無く、いつものアイツに見えた。
結果は...、ダントツの1位だった。
アイツが走り終えると、俺に気付いたアイツ。
「1位じゃったよ。」
「ダントツじゃったな。友野、速すぎんじゃよ。」
「緒川、残念じゃったね。」
「アイツら速いけぇな。来年リベンジするけぇ。」
いつも通りのアイツだった。
見かけでは平然としていたが、実は緊張していたのかも知れない。
「男女混合リレー頑張ろ!」
「おぉ、勝とうや!」
100m走を2位で終えた俺は、体育大会最後の男女混合リレーのために休息をとることにした。
女子グループの中に入っていったアイツを見届けた後、山本さんのことを思い出した。
走り幅跳びを見に行きたいが、ひとりでは行きづらい。
しれっと男子連中を誘い、走り幅跳びを見に行くことにした。
すると、山本さんがいた。
「応援しに来てくれたん?」
「違うクラスじゃけぇ。」
「同じ陸上部じゃろ。」
「陰ながら応援しよるけぇ。」
「ありがと。」
クラスメートを応援しなくてはならないが、山本さんを応援していることは内緒だ。
男子の中には、洋ちゃんもいた。
「洋ちゃん、山本さんって、陸上部にいたの知っとった?」
「確かおったよ。」
「俺、今日まで知らんかったんよ。ぶち可愛いと思わん?」
「どうじゃろう...。」
興味ないはずはないのだが、女子の話をほとんどしない洋ちゃん。
それはさておき、さすが陸上部。
山本さんが1位だった。
午前も終わり、弁当の時間になった。
中間発表では、俺のクラスが2位で、1位とは僅差だった。
クラス中に歓喜が上がった。
俺も気合を入れた。
体育大会の午後の部が始まる。
俺の出番は、体育大会最後の男女混合リレー。
リレーの結果は?
クラスの優勝は?
それは、次回で。
第18話
Coming Soon!
閲覧ありがとうございました。
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