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【歴史小説シリーズ】三国志 第一話⑥ 三人の英雄ここに起つ

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三国志 第一話⑥ 三人の英雄ここに起つ

「涿県に賊軍が侵攻してきましたー!」
との知らせに太守の劉焉は、校尉の鄒靖に迎え撃たせるよう命を下した。
「早速だが玄徳殿、参陣をお願いしたい!」
劉備ら三人は兵五百を率いて、黄巾の賊将程遠志の兵五万と山麓で対峙した。

 

劉備は関羽を左に、張飛を右に従えて馬を乗りだし、劉備は凛々しく大声で、
「やぁやぁ賊軍ども!ここは潔く降参致せ!」
この口上に賊将の程遠志は怒り、副将の鄧茂を乗り出させた。
「玄徳兄者、ここは俺が!」
張飛が蛇矛を強く握りしめて躍り出し、瞬く間に鄧茂の胸もとを一刺し。
鄧茂が馬から真っ逆さまに転げ落ちた。
「鄧茂はこの翼徳が討ち取ったり!」
それをみた程遠志は、薙刀を振り回して張飛に斬りかかろうと馬を駆って出た瞬間、関羽が馬で躍り出て、青龍偃月刀を一閃し、程遠志は真っ二つになった。
将を失った賊兵たちは動揺し、賊軍は総崩れとなった。
劉備は手勢を率いて賊兵たちを追い立て、降伏するものが続出し、戦に大勝した。

 

 

 

 

帰陣した劉備たちを劉焉は自ら出迎えて、酒や肴で兵士たちを労った。
「雲長も翼徳も傑出した豪傑だ。見事としか言いようがない。」
劉備が二人に酒を注ぎながら言う。
「兄者こそ、兵を率いて賊を追い立てたお姿は見事なもの。」
関羽と張飛は感服して酒を吞み干した。

翌日のこと。
青州太守の龔景から劉焉のもとに書簡が届いた。
「青州の城が黄巾賊に取り囲まれているという。どうしたものか・・・。」
劉備は進み出て、
「私が援軍に参りましょう。」
劉焉は青州に援軍を送ることにした。

 

劉焉は鄒靖に兵5千を授けて、劉備たちとともに青州に向かわせた。
援軍をみて、黄巾賊は兵を分けて応戦した。
多勢に無勢と悟った劉備たちは一旦退いて陣を敷いた。
「敵は大軍。このままでは勝ち目はない。いかがしたものか・・・」
鄒靖が思案していると、
「鄒靖殿と私が中央を指揮して、左右の伏兵を雲長と翼徳が率い、挟撃しましょう。」
劉備の案を採用し、賊軍は三方から囲まれて潰走し始めた。
と同時に龔景が兵を率いて青州城下から討って出て、賊軍を散々に討ち果たした。
かくして賊軍は無数の死者を出して大敗し、青州の囲みも解けた。

 

青州太守の龔景からもてなされた後、趨勢は幽州に引き揚げようとすると劉備は、
「近頃、中郎将盧植殿が張角と広宗の地で交戦中と聞きしました。盧植先生のお力添えに参じたいのです。」
と言い、関羽と張飛と共に手勢五百を率いて、盧植のいる広宗の地へ向かった。
「先生、どうかご無事で。」
劉備は祈りつつ、盧植のもとに駆け付けるため、先を急いだ。

 

第一話⑦

【歴史小説シリーズ】三国志 第一話⑦ 広宗に向かう劉玄徳
鄒靖と別れて、青州から盧植のいる広宗へ急ぐ義勇軍。率いる劉備は、盧植の身を案じながら、昔のことを考えていた。劉備という漢(おとこ)は中山靖王の劉勝の血筋で、その一族が涿県に残ったという。父は劉弘であるが、劉備が幼い頃、若くして亡くなってしまった。

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 閲覧ありがとうございました。

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