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「分散型ホテル(アルベルゴ・ディフーゾ)」という新しい宿泊体験!

「分散型ホテル(アルベルゴ・ディフーゾ)」という新しい宿泊体験! 諸々

「分散型ホテル(アルベルゴ・ディフーゾ)」という新しい宿泊体験!

街全体がホテル。それが「分散型ホテル」という新しい宿泊のカタチです。

従来の一つの大きな建物に泊まるというホテル体験とは異なり、地域に点在する複数の建物が一つの宿泊施設として機能する分散型ホテルが、新たな観光のトレンドとして注目を集めています。

本記事では、そんな分散型ホテルの魅力や背景などを詳しく解説します。

 

分散型ホテルとは?背景と特徴

分散型ホテル(アルベルゴ・ディフーゾ)とは、地域や集落に点在する空き家や歴史的建造物をネットワーク化し、ひとつの宿泊施設として再生したホテル形態のことです。「アルベルゴ」はイタリア語で「宿」、「ディフーゾ」は「分散した」を意味し、その名の通り宿泊機能が地域内に分散しているのが最大の特徴です。

分散型ホテルの起源と背景

分散型ホテルはイタリアを起源としています。1976年にイタリア北部で発生した大地震後、住民がいなくなった空き家を有効活用するために考案されました。2006年には、分散型ホテルの全国的な普及啓発を目的とした「アルベルゴ・ディフーゾ協会」が設立され、その後世界各地に広がっていきました。

日本では、少子高齢化による地方の人口減少と空き家問題の深刻化、そして新しい観光スタイルへのニーズの高まりを背景に、この概念が注目されるようになりました。

 

分散型ホテルの特徴

分散型ホテルの主な特徴は下記のようなものがあります。

  1. 地域内に分散した施設構成:フロント、客室、レストランなど、ホテル機能が地域内の複数の建物に分かれています。
  2. 既存建物の再利用:古民家、空き家、歴史的建造物などをリノベーションして活用します。
  3. 中心となる拠点の存在:レセプションやコンシェルジュ機能を持つ拠点が地域内にあり、ここを中心に宿泊体験がコーディネートされます。
  4. 地域文化との融合:その地域ならではの文化や生活様式を体験できる宿泊プログラムが提供されることが多いです。
  5. 回遊性の促進:宿泊者が地域内を移動しながら様々な施設を利用することで、まち全体の活性化につながります。

このようなスタイルにより、宿泊客は「その地域に暮らすような体験」ができ、地域側は空き家問題の解決や観光による経済効果という恩恵を受けることができます。

 

分散型ホテルが注目されている理由

「分散型ホテル(アルベルゴ・ディフーゾ)」という新しい宿泊体験!

分散型ホテルが近年注目を集めている理由は大きく分けて2つあります。

地域再生への貢献

日本各地で深刻化する空き家問題や過疎化に対する解決策として、分散型ホテルは大きな可能性を秘めています。商店街のシャッター店舗や使われなくなった古民家を宿泊施設として活用することで、地域に新たな経済循環を生み出します。

また、歴史的・文化的価値のある建造物を保存しながら活用できるという点も、文化財保護の観点から注目されています。分散型ホテルは単なる宿泊施設ではなく、地域の歴史と文化を継承する役割も担っています。

 

新しい旅のスタイルへの対応

コロナ禍を経て、観光客のニーズも大きく変化しました。「3密」を避けたいという意識の高まりや、より深く地域と関わりたいという旅行者のニーズに、分散型ホテルは適合しています。

一棟貸しのスタイルが多い分散型ホテルでは、他の宿泊客との接触を最小限に抑えることができますし、地域に溶け込むような滞在体験は、「モノ消費」から「コト消費」へとシフトした現代の旅行者の嗜好にもマッチしています。

さらに、SNSでシェアしたくなるようなユニークな宿泊体験という点でも、分散型ホテルは高い訴求力を持っています。

 

分散型ホテルのメリットとデメリット

分散型ホテルには様々なメリットとデメリットがあります。

利用者(宿泊客)にとってのメリット・デメリット

メリット

その地域に暮らすような非日常体験ができる

  • 地元の人々との交流の機会が多い
  • 一般的なホテルでは味わえない歴史的・文化的空間での滞在
  • プライバシーが確保されやすい
  • 地域の飲食店や商店などを自然と利用することになり、より深い地域体験ができる

 

デメリット

  • 施設が分散しているため、移動の手間がかかる
  • 古い建物のため、最新の設備や快適さを求めると物足りない場合がある
  • 天候に左右されやすい
  • 一般的なホテルのような24時間対応のサービスが受けられない場合がある

これらのメリット・デメリットを踏まえた上で、地域の特性や目的に合わせた分散型ホテルの開発・運営が求められています。

 

地方自治体にとってのメリット・デメリット

メリット

  • 空き家問題の解決につながる
  • 地域の歴史的建造物の保存・活用が可能になる
  • 観光客の増加による地域経済の活性化
  • 地域ブランド力の向上
  • 移住・定住の促進につながる可能性

 

デメリット

  • 初期投資や整備に大きなコストがかかる
  • 地域住民の理解と協力の獲得が必要
  • ゴミ処理や騒音など、観光客増加に伴う課題への対応
  • 長期的な運営体制の構築と維持が難しい

 

企業(運営事業者)にとってのメリット・デメリット

メリット

  • 既存の建物を活用するため、新築よりも初期投資を抑えられる場合がある
  • その地域ならではの独自性を打ち出せる
  • 地域全体との連携による付加価値の創出が可能
  • 地域貢献型のビジネスとしてのブランドイメージ向上

 

デメリット

  • 複数の建物を管理・運営する手間とコスト
  • 古い建物のメンテナンスや設備更新の負担
  • 統一的なサービス品質の維持が難しい
  • 地域との調整や連携に多くの労力が必要

 

分散型ホテルの事例

日本の事例

篠山城下町ホテルNIPPONIA(兵庫県丹波篠山市)

日本における分散型ホテルの先駆けとなったホテルです。丹波篠山の城下町に点在する古民家をリノベーションし、「町全体がホテル」というコンセプトで運営されています。ブランド食材の宝庫である丹波篠山の食文化も大きな魅力の一つとなっています。

 

SEKAI HOTEL(大阪府東大阪市)

「旅先の日常に飛び込もう」をコンセプトに、大阪の下町情緒が残る商店街をまるごとホテル化した分散型ホテルです。空き店舗をリノベーションした客室や、地元の純喫茶での朝食、銭湯の利用など、地域に溶け込む体験を提供しています。

 

NIPPONIA HOTEL 大洲 城下町(愛媛県大洲市)

江戸時代の城下町の風情が残る「伊予の小京都」大洲に誕生した、日本最大級の分散型ホテルです。10年以上空き家だった古民家や豪商の別邸をリノベーションし、日本初の「城泊」として注目を集めました。

 

三浦半島の旅宿 三崎宿(神奈川県三浦市)

江戸時代から漁業で栄えた街並みを生かした分散型ホテルで、築後百数十年の酒屋をフロントに、江戸時代から続く鮪問屋をリノベーションした蔵造りの宿などを提供しています。

 

 hanare(東京都台東区)

東京の都心にありながら古民家が多く、下町の雰囲気を色濃く残す谷中エリアにある分散型ホテルです。チェックインと朝食は築60年を超える木造アパートを改築した「HAGISO」で行い、街の宿屋や銭湯を宿泊・入浴施設として活用しています。

 

海外の事例

Sextantio Albergo Diffuso(イタリア)

イタリア中部アブルッツォ州のサント・ステファノ・ディ・セッサーニオという中世の村全体を活用した分散型ホテルで、アルベルゴ・ディフーゾの代表的事例です。廃村寸前だった村が、この取り組みによって再生しました。

 

カピターノ・コレクション(イタリア)

トスカーナ州にある世界遺産オルチャ渓谷の中世の姿を残すサン・クイーリコ・ドルチャにある分散型ホテルです。旧市街地周辺のコンパクトなエリア内に宿泊棟を分散させています。

これらの事例に共通するのは、地域の歴史や文化を大切にしながら、現代的な快適さを提供している点です。また、単に宿泊施設を提供するだけでなく、その地域ならではの体験プログラムや食事なども含めた総合的な「地域の魅力」を伝える役割を担っています。

 

分散型ホテルの今後の動向

「分散型ホテル(アルベルゴ・ディフーゾ)」という新しい宿泊体験!

分散型ホテルは今後、下記のような方向性で発展していくと考えられています。

インバウンド需要への対応

コロナ禍からの回復に伴い、海外からの観光客(インバウンド)が増加する中、日本らしい体験を求める外国人旅行者のニーズに応える宿泊施設として、分散型ホテルの需要はさらに高まると予想されます。日本の伝統的な暮らしや文化を体験できる分散型ホテルは、インバウンド誘客の重要な受け皿となるでしょう。

 

テクノロジーとの融合

IoTやAIなどのテクノロジーを活用し、分散した施設のスマートな運営や、宿泊客の体験向上が進むと考えられます。スマートキーシステムによるセルフチェックインや、ARを活用した地域案内など、テクノロジーを活用したサービスの拡充が期待されます。

 

地域全体のブランディング戦略の核に

分散型ホテルは単なる宿泊施設ではなく、地域全体のブランディング戦略の中核として位置づけられるようになるでしょう。地域の食や工芸、芸能などの文化資源と分散型ホテルを組み合わせることで、地域全体の魅力を高め、持続可能な観光開発につながることが期待されます。

 

新しい働き方・暮らし方への対応

ワーケーションやブレジャー(Business+Leisure)など、働き方の多様化に伴い、「暮らすように旅する」スタイルの宿泊ニーズが高まっています。分散型ホテルは、長期滞在にも適した環境を提供できることから、この新しい需要に応える施設として発展していくでしょう。

 

持続可能な観光への貢献

オーバーツーリズム(観光公害)が世界的な課題となる中、分散型ホテルは観光客を特定のエリアに集中させず、地域全体に分散させる効果があります。この特性は、持続可能な観光開発の文脈でさらに評価されるようになると考えられます。

また、2025年には日本でもさらに新たな分散型ホテルの開業が予定されており、伊勢市では「NIPPONIA HOTEL 伊勢河崎 商人町」が「伊勢の台所」として栄えた伊勢河崎地域にオープン予定です。このようにさらに各地で分散型ホテルの展開が進むことが期待されています。

 

まとめ

分散型ホテルは、単なる宿泊施設の一形態にとどまらず、地域再生や新しい観光のあり方を提案する社会的な取り組みでもあります。空き家問題や過疎化という地域課題と、より深い文化体験を求める観光ニーズの双方に応える可能性を秘めています。

今後も、各地域の特性や課題に合わせた多様な分散型ホテルが生まれ、日本の観光産業と地域社会に新たな風を吹き込んでいくことでしょう。そして何より、分散型ホテルが提供する「その地域に暮らすような旅の体験」は、旅行者にとって新しい発見と感動をもたらし、旅の価値をさらに高めていくことでしょう。

地域と観光客、そして運営事業者がWin-Winの関係を築ける分散型ホテルは、これからの日本の観光と地域創生の重要なモデルとなっていくに違いありません。

 

 閲覧ありがとうございました。

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