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【歴史小説シリーズ】三国志 第一話⑦ 広宗に向かう劉玄徳

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三国志 第一話⑦ 広宗に向かう劉玄徳

鄒靖と別れて、青州から盧植のいる広宗へ急ぐ義勇軍。
率いる劉備は、盧植の身を案じながら、昔のことを考えていた。
劉備という漢(おとこ)は中山靖王の劉勝の血筋で、その一族が涿県に残ったという。
父は劉弘であるが、劉備が幼い頃、若くして亡くなってしまった。

涿県楼桑村で貧しい生活を送っていた劉備少年は、幼い頃から母に孝行を尽くす。
家の東南に桑の大木があり、遠くから見ればそれは天子の馬車の上に立てる傘のようであった。
「おらは、いつか皇帝になってみせるぞ!」
劉備少年は、そのようなことを言いながら遊んでいた。
叔父の劉元起は、劉備に並々ならぬものを感じ、息子と共に盧植のものへ遊学させるために援助した。

 

温和な性格の劉備であったが学問をあまり好まず、公孫瓚ら豪傑と交友をもった。
劉備の周りには不思議と豪傑や若者が集い、群れができた。
口数の少ない劉備は、漢王室の血をひくことを言わなかったが、それ以上に人を引き寄せる魅力のようなものを身にまとっていた。
盧植もそんな劉備を見て、一目置いていたのだった。

 

やっとの思いで広宗に着いた劉備たちは、急いで盧植のいる陣に向かった。
盧植は目通りする劉備をみて大いに喜んだ。
劉備の側にいる二人の英傑である関羽と張飛、付き従う民兵の若者たちを見た盧植は、劉備が遊学していた頃を懐かしく思いながら、軍に加わって待機するように命じた。

広宗では、張角の賊軍15万と盧植の官軍5万が対陣し、小競り合いを繰り返していたが、勝敗のつかない状況が続いていた。
そんな状況の中、盧植は劉備を呼び、
「構想はわしが抑える故、張梁・張宝と戦う皇甫嵩殿と朱儁殿のいる潁川に向かってくれぬか?
官軍1千を引き連れ、潁川の賊軍を討ち平らげてくれ。」

盧植の命で潁川に着くと、官軍に押されていた賊軍は長社県まで退いて、陣を構えている。
この長社での戦いで、ひとりの英雄が現れることになる。

 

第一話⑧

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 閲覧ありがとうございました。

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