三国志 第一話② 乱世の幕開け
「玉座に大蛇がぁー!」
温徳殿に狂風が吹き込むと、一匹の蒼い光に包まれた大蛇が天から飛来し、玉座位に居座った。
光武帝が再興してから百五十年経った後漢王朝末期、時の天子である霊帝は恐怖のあまり昏倒してしまった。
百官たちは慌てふためき逃げ惑い、宮殿内は大騒ぎとなった。
そのさまをみた大蛇が姿を消えると突然、凄まじい雷雨となり、雹が降り注ぎ、それは夜中まで止めようとしなかった。
その後も天変地異は納まらなかった。
地震や大津波に襲われたり、雌鳥が雄鳥になるという事態になった。
温徳殿が黒色の妖気で溢れたり、玉堂殿から現れた虹によって五原で激しい山崩れになるなど、不吉なことがたびたび起きた。
宮殿内では、去勢し後宮に出入りのできる宦官たちの中で、張譲を代表とされる10人は、十常侍と称して権力を握り、私欲を肥やしていた。
皇太后や皇后の一族である外戚、宦官、清流派の士大夫たちに取り巻かれる後漢王朝の政治は乱れ、腐敗し、人心を失った。
民衆は困窮して飢えに苦しみ、生死を彷徨うなかで叛乱が起こることを望んでいた。
そして、それは起こるのである。
第一話③
【歴史小説シリーズ】三国志 第一話③ 蒼天すでに死す 黄天まさに起つべし
山に入り、薬草を採って暮らしを立てている3兄弟がいた。長兄を張角、次兄を張宝、末弟を張梁という。張角は挙人試験に落第した書生だった。漢王朝は腐敗し、民衆は飢えに苦しみ、流民となっていたこの時代に失望しながら、山中に身を隠すように暮らしていた。
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閲覧ありがとうございました。
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