【オアスペ(Oahspe)とは?】
自動書記で書かれた
「新しい聖書(A New Bible)」」の正体は?
「オアスペ(Oahspe)」は1882年にアメリカで刊行された霊的啓示書で、「新しい聖書(A New Bible)」と呼ばれています。
歯科医ジョン・バロウ・ニューブローが「自動書記」によって執筆したとされる800ページ超の大著で、19世紀アメリカ心霊主義(スピリチュアリズム)ブームの産物です。
- 創造主ジェホヴィ
- 三層宇宙構造
- 失われた大陸「パン」
などの壮大な世界観を持ち、パン大陸と日本を結びつける記述から日本のスピリチュアル界隈で独自の受容を遂げました。学術的には史実として認められていませんが、19世紀精神世界を知る一級の資料としての価値があります。
そこで本記事では、「オアスペ」とは何かを成り立ち・内容・日本との意外な関係まで、できるだけ分かりやすく解説していきます。
「オアスペ」とは何か?
「オアスペ(Oahspe)」とは造語で、分解するとこうなります。
- オ(Oah):空・天
- ア(a):地・大地
- スペ(spe):霊
つまり 「天・地・霊」 をひとつにまとめた言葉です。
【著者】ジョン・バロウ・ニューブロー
著者とされるのは、ジョン・バロウ・ニューブロー(John Ballou Newbrough, 1828–1891)という歯科医です。19世紀アメリカで開業し、当時流行の心霊主義運動に深く傾倒していました。
1880年頃から「天使からの啓示」を受けるようになったと主張し、日の出前の暗い部屋でタイプライターの前に座り、無意識に手が動く「自動書記」で執筆したとされます。
【時代背景】心霊主義ブーム
1848年のフォックス姉妹事件(ニューヨーク州ハイズヴィルでのラップ音現象)に端を発する心霊主義ブームがありました。19世紀後半のアメリカでは降霊会、交霊術、自動書記が社会現象となり、南北戦争の大量死が「死者との対話」への欲求を後押ししたと一般に解釈されています。
オアスペは、この渦中で生まれました。
刊行とその後
1882年に初版が刊行され、副題は「ジェホヴィとその天使大使たちの言葉による新しい聖書」。
ニューブロー没後も信者(フェイシスト:Faithists)たちによって再版が続けられ、現在も英語圏に読者コミュニティが存続しています。
ニューブローは教義の実践として孤児を集めた共同体「シャラム・コロニー(Shalam Colony)」をニューメキシコに設立。しかし経営難と疫病によって、死後まもなく瓦解しました。
【オアスペ】の中身とは?
オアスペの内容は、ざっくり言うと 「宇宙と地球と人類の霊的な全歴史」 です。
創造主ジェホヴィ(Jehovih)
オアスペの最高存在は人格神的な創造主ジェホヴィです。旧約聖書のヤハウェと類似している点は「新しい聖書」を名乗る所以ですが、教義内容はキリスト教正統とは大きく異なります。
宇宙の三層構造
| 界 | 名称 | 性質 |
| エーテリア界 | 神界 | 最高次の神々の領域 |
| アトモスフェリア界 | 霊界 | 地球を取り巻く霊的領域 |
| コーポリアル界 | 物質界 | 物理世界(我々の世界) |
地球は周期的に「神の船」に乗った大天使が訪れ、人類の霊的進化を管理してきたとされます。
パン大陸と日本
太平洋に存在した超古代大陸パン(Pan)が登場し、その残存部分が現在の日本列島であると記述されており、「日本人には特別な霊的使命がある」という記載から、日本で受容されました。
フェイシズム(実践教義)
信仰は理念に留まらず、
- 菜食主義
- アルコール・医薬の否定
- 孤児の育成
- 共同体生活
など厳格な生活規範を含みます。
シャラム・コロニーはその実践実験でした。
【なぜ日本で注目されるのか】パン大陸と竹内文書
日本語では 『オアスペ全訳』 が刊行されています。
日本で注目される最大の理由は、竹内文書(真偽に大論争のある古史古伝)の日本神話的記述との奇妙な一致点が指摘されることです。1882年のアメリカの歯科医の著書と日本の古伝文書に接点は考えにくいからこそ、「超古代の共通記憶では?」という盛り上がりが生まれ、縄文・カタカムナ論と結びつけて語られます。



学術的評価と批判
宗教学・歴史学のいずれからも史実としては認められていません。
Internet Sacred Text Archiveは、
と評しており、これが標準的な学術的スタンスです。
心理学の観点では、自動書記は解離状態や潜在意識の産物として説明可能な現象です。
19世紀アメリカの宗教史・心霊主義研究の一次資料としての価値は確立しています
オアスペは「史実かどうか」の本ではなく、「なぜこのような壮大な世界観が19世紀に生まれ、140年以上読み継がれ、海を渡って日本で独自の花を咲かせたのか」 を考える本です。
出自は「心霊主義ブーム期の自動書記」と理解した上で読めば、読み物として面白い1冊です。
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