大企業でも加速する若者の【超早期離職】
組織変革の未来
「最近の若者は、堪え性がない」
入社してわずか半年で会社を去る「超早期離職」が、今や大企業でも当たり前のように起きている現実を前に、私たちは本当に「堪え性のなさ」という一言で片付けてしまって良いのでしょうか。
「安定の象徴」とされた大企業が、なぜ若者にとって魅力的な選択肢ではなくなっています。
そこで本記事では、
などの最新調査データと分析に基づき、若者の離職問題の深層に迫り、構造的な変化と企業が取るべき具体的な戦略について、解説していきます。
数字が語る衝撃の現実 | 大企業で加速する「超早期離職」
3人に1人が3年以内に離職する時代へ
厚生労働省の最新データ(2022年卒)によれば、
という現実です。
新卒社員の3人に1人が、3年以内に離職しています。
大企業ほど深刻化する「超早期離職」
入社後半年未満での退職を指す「超早期離職」が、大企業で顕著になっています。
2025年調査では、直近3年間で「半年以内の早期離職があった」と回答した企業は、全体の57%に上りますが、企業規模別で見てみましょう。
| 企業規模 | 半年以内早期退職 |
| 49名以下 | 46% |
| 50~99名 | 52% |
| 100~299名 | 58% |
| 300~999名 | 80% |
| 1000名以上 | 73% |
| 全体 | 平均 57% |
大企業の7~8割が、半年以内の超早期離職を経験しており、中小企業よりも深刻です。
縮まる離職率格差と大企業の「慢心」
かつて、企業規模が大きいほど離職率が低いという明確な傾向がありました。
しかし、大企業(1000人以上)の離職率は2003年卒以降、緩やかに上昇傾向で、2022年卒では過去最高水準を記録しています。中小企業の離職率は2011年以降ほぼ横ばいで推移しており、大企業と中小企業の離職率格差は小さくなってきています。
これは、大企業における離職率の悪化が主原因であるという点で、深刻な問題を提起しています
Z世代の「納得感」が離職を加速させる
離職理由の変化 | 「労働負荷」から「納得感の欠如」へ
若者が会社を去る理由は、もはや「長時間労働」や「サービス残業」といった単純な「労働負荷」だけではありません。
働き方改革の進展により、労働時間に関する不満は減少傾向にありますが、代わって急増しているのが、
- 求められる成果が重すぎる
- 評価に納得できない
- 上司の指示や考えに納得できない
といった「納得感の欠如」に関する不満です。
- サービス残業が多い
- 労働時間が長い
などは少なくなってきています。
出典:パーソル総合研究所「日本の「離職理由」はどう変化したのか」
こうした変化は、若者のキャリア観と深く関連していて、働きやすい環境を求めるだけでなく、
- 仕事が持つ意味や価値
- 自身の貢献が正当に評価される
ことを強く望んでいます。
- 不透明な評価制度
- 一方的な指示
- 成長機会の欠如
は、若者にとって「納得できない」状況であり、離職への引き金になっています。
Z世代のキャリア観:「安定」と「持続可能性」の追求
Z世代の仕事観に関する調査では、
- 経済的な安定
- 安定した人生を送る
が上位を占めています。
その反面、
- 興味のあること・好きなことを仕事にする
- 自己実現
といった回答は少数派で、Z世代が極めて現実的なキャリア観を持っています。
Z世代は、
- ワークライフバランスを保ちながら働く
- 仕事とプライベートをきっちり分ける
という「自分らしい働き方」を重視し、週休3日やフレックスタイム、メンタル、学び支援など、
- 仕事
- プライベート
- 自己成長
を両立できる柔軟な職場環境を求めています。
学生の半数が「転職予備軍」であるという調査結果は、彼らのキャリアに対する流動性の高さを如実に物語っています。
出典:ヒューマンホールディングス株式会社【Z世代の仕事観と自分らしさに関する調査2025】
2026年の企業が直面する新たな課題
経営陣と現場の「深い断絶」
2026年の職場トレンドのひとつに、「従業員と経営陣の深い断絶」があります。
米求人情報大手Glassdoorのレポートによれば、組織の経営陣に関する従業員のレビューで、
- ズレ:149%増
- 断絶:24%増
- 不信感:26%増
になっています。
リーダーと従業員の共感関係が薄れ、会社側の振る舞いに戻ったリーダーたちへの不信感が募っていることを示唆しています。
リーダーシップの透明性の欠如、一方的な方針決定は、Z世代が求める「納得感」を大きく損ない、離職を加速させる要因となり得ます。
「永遠に続くレイオフ」とAIの台頭
もう一つの深刻なトレンドは、「永遠に続くレイオフ」です。
大規模な人員削減ではなく、小規模で継続的な人員削減がニューノーマルとなりつつあり、従業員に不確実性と不安を生み出しています。
AIの急速な台頭も若者のキャリアに影を落としています。
ResumeTemplatesの調査では、29%の企業が新入社員の業務をAIに置き換え、34%がAI導入を検討中とされています。
若手が実務経験を積む機会がAIに奪われるのは、若者の成長実感やキャリアパスへの不安を一層増幅させます。
未来を拓く「GRC」戦略 | 「定着」から「共創」へ
若者の離職問題は、企業にとって大きな脅威であると同時に、組織変革の機会でもあります。
「定着率」という短期的な指標に囚われるのではなく、若者が
- 「ここで成長したい」
- 「貢献したい」
と心から思える環境をどのように創り出すか、という視点への転換が求められています。
エン・ジャパンが提唱する「GRC(Gap, Relation, Capacity)」の枠組みは、この課題に対する実践的なアプローチを提供します。
G (Gap):期待と現実の乖離を防ぐ「RJP」
「こんなはずじゃなかった」というミスマッチは、早期離職の最大の要因の一つです。
これを防ぐためには、採用段階から企業のリアルな姿、仕事の厳しさ、やりがい、そして成長機会を正直に伝える「RJP(Realistic Job Preview)」が不可欠です。
- オープンな情報開示:良い面だけでなく、課題や困難な側面も包み隠さず伝える
- 現場社員との交流:採用プロセス中に、配属予定部署の社員と直接話す機会を設ける
- 明確な目標設定:入社時から、具体的な業務内容と期待される役割、目標を明確に提示する

R (Relation):上司との「信頼」と「納得感」を醸成する
Z世代は、マイクロマネジメントを嫌い、自律性を重んじる一方で、上司との信頼関係や、自身の貢献が正当に評価されることに強い「納得感」を求めます。上司は、指示命令者ではなく、若者の成長を支援するコーチとしての役割を果たす必要があります。
- 定期的な1on1ミーティング:業務の進捗だけでなく、キャリアの悩みや成長実感について深く対話する機会を設ける。
- フィードバックの質向上:具体的な行動に基づいた建設的なフィードバックを頻繁に行い、評価の透明性を高める。
- 心理的安全性:失敗を恐れずに意見を言える、挑戦できる環境を醸成する。
C (Capacity):適切な「成長機会」と「業務量」を設計する
Z世代は自己成長への意欲が非常に高く、学位プログラムや資格取得に積極的です。しかし、企業側が十分な成長機会を提供できていない現状があります。成長実感の欠如は、若者のモチベーションを急速に低下させ、離職へと繋がります。
- 早期のキャリア開発機会:若手社員向けの研修プログラムや、メンター制度を充実させる。
- ストレッチアサインメント:少し背伸びをすれば達成できるような、挑戦的な業務を任せることで成長を促す。
- 柔軟な業務量調整:定期的に業務量や内容についてヒアリングし、多すぎず少なすぎない、適切な負荷を調整する。
- 社内公募制度・ジョブローテーション:多様な経験機会を提供し、自身のキャリアパスを自律的に設計できる選択肢を与える。
成功企業に学ぶ共通点
Teach For AmericaやEY(Ernst & Young)といった企業は、Z世代の定着率が高いことで知られています。
- 社会貢献性の高い目的意識:企業の存在意義が明確で、社会への貢献を実感できる。
- 早期のキャリア開発機会:若手のうちから責任ある仕事を任せ、成長を促す。
- 充実した教育制度:スキルアップや学びの機会を積極的に提供する。
- 柔軟な働き方とウェルビーイング支援:ワークライフバランスを重視し、心身の健康をサポートする。
これらの企業は、若者を労働力としてではなく、未来を共に創るパートナーとして捉え、成長と幸福を組織の成長と結びつけています。
Z世代と共に「未来を共創」する組織へ
若者の離職問題は、「若者に甘い」施策で解決できるような単純なものではありません。
企業が
- 自らの組織文化
- マネジメントスタイル
- 若者に対する根本的な認識
を問い直す「組織変革」が必要不可欠です。
Z世代は、旧来の「我慢や忠誠心を美徳とする価値観」とは異なる、新しい働き方とキャリア観を持っています。若者の「納得感」を重視し、自律的な成長を支援し、社会貢献という大きな目的意識を共有できる企業こそが、これからの時代に優秀な人材を惹きつけ、持続的に成長していくことができるでしょう。
「あなたの職場は、若者が『ここで成長したい』と思える環境でしょうか?」
この問いに真摯に向き合い、変革の第一歩を踏み出す企業だけが、未来を拓くことができます。
私が見た大企業の実態
古い固定観念で生き続ける老害たち
私が働いていた大企業では、年配の経営陣や管理職が多く、「我慢と忍耐、忠誠心」で生きてきた人たちによってマネジメントされていました。
特に、定年間近の管理職は、退職金をもらうことしか考えておらず、現状維持に徹しています。
そのため、新しいものを導入するようなチャレンジには消極的で、若者に対して理解を示すようなこともありません。
部下が辞めることよりも、自分の退職金の方が大事だと思っているようでした。
管理職になれなかった年配の社員、再雇用で残る人達も多いのですが、自分たちのやり方を変えることを拒み、生産性の低いやり方を若手社員に押し付けていました。
「静かな退職」は、若手社員固有の問題というより、むしろ年配社員の方が、タチが悪いです。


モチベーションを失う若手社員
毎年、若手社員が入社してくるのを見てきました。
やる気ある若手社員の多くは、3年以内に離職していきました。
やる気のない社員だけが、「静かな退職」として残っています。
残念なことに、中途採用で入社した若手社員ですら、離職が多い状況でした。
給料は悪くないのですが、年配の社員が古い固定観念を持ちながら、居座ることで、若手社員にとっては、とてもやりづらい環境だったと感じました。
中堅からベテランの域に入った私ですら、「ここで学べることはない」と思っていました。
「働かないおじさん」の存在も大きく、若手・中堅社員のモチベーションを大きく低下させます。
「人事評価」に差をつけず、平均的な評価にする風潮があり、やる気のある若手・中堅の不満が大きく、離職していきます。
若者の早期離職が問題にされていますが、「堪え性のなさ」ではなく、「働くべき会社ではない」と見切りをつけられている古い固定観念を持った組織や老害の存在を無視できません。
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