太陽系に訪れた謎の訪問者
恒星間天体3I/ATLAS(アトラス)の正体に迫る
2025年、天文学界に衝撃が走りました。
太陽系の外から飛来した3番目の恒星間天体、『3I/ATLAS(アトラス)』が発見されたのです。
Wikipedia 3I/ATLAS
この謎に満ちた訪問者は、過去に観測されたどの天体とも異なる驚くべき特徴を持ち、科学者たちを熱狂させています。
本記事では、この宇宙の旅人が一体何者なのか、最新の調査結果をもとに、その正体に迫ります。
チリの夜空に現れた新たな訪問者
3I/ATLASは、2025年7月1日にチリに設置された小惑星地球衝突最終警報システム(ATLAS)によって初めて観測されました。
Wikipedia ATLAS
その後の軌道計算により、この天体が太陽系の重力に束縛されない双曲線軌道を描いていることが判明し、太陽系外からの訪問者であることが確定しました。
これは、
に続く、観測史上3例目の恒星間天体となります。
軌道と地球への影響:安全な距離を保つ宇宙の旅
多くの人が懸念する地球への衝突リスクですが、3I/ATLASが地球に脅威を与えることは無いようです。
NASAと欧州宇宙機関(ESA)の発表によると、3I/ATLASが地球に最も接近する際の距離は約2億4000万キロメートルで、これは地球と太陽の距離の1.5倍以上に相当します。
3I/ATLASは、2025年10月29日に太陽に最も近づき(近日点通過)、その後は二度と太陽系に戻ることはありません。
常識を覆す巨大質量と特異な組成
桁違いの質量とサイズ
最新の研究では、3I/ATLASの質量は330億トンを超えると推定されています。
これは、過去の恒星間天体と比較して桁違いに大きく、その核の直径はニューヨークのマンハッタン島に匹敵する5キロメートル以上である可能性が示唆されています。
「深宇宙の炭酸飲料」と異常な金属放出
ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡などの観測により、3I/ATLASが大量の二酸化炭素(CO2)を放出していることが明らかになりました。
さらに衝撃的だったのは、ヨーロッパ南天天文台の超大型望遠鏡(VLT)が検出した異常な金属放出です。
鉄の放出がほとんどないにもかかわらず、大量のニッケル原子を放出していることが確認されました。
これは太陽系の彗星では見られない極めて珍しい現象です。
探査機たちが捉える素顔
この千載一遇の機会を逃すまいと、世界中の宇宙機関が探査機を動員した大規模な観測キャンペーンを展開しています。2025年10月には、火星を周回するESAの「マーズ・エクスプレス」やNASAの「マーズ・リコネッサンス・オービター」などが、火星に接近した3I/ATLASを至近距離から観測しました。
さらに11月には、木星へと向かうESAの探査機「JUICE」が、太陽に最も近づき活動がピークに達した状態を観測できるようです。これらのデータは、彗星の真の化学組成や物理的状態を解明する上で、決定的な手がかりとなることが期待されています。
科学的意義と残された謎
3I/ATLASは、太陽系が宇宙の中で孤立した存在ではなく、他の恒星系と物質的に繋がっていることを示す生きた証拠です。
その特異な組成は、惑星系が形成される際の化学的な多様性を明らかにし、生命の起源に関する我々の理解を深める可能性があります。
一方で、異常なニッケル放出のメカニズムや、これほど巨大な恒星間天体がどのようにして形成され、太陽系まで旅をしてきたのかなど、多くの謎が残されています。
一部の科学者からは、その特異性から自然物ではなく地球外文明の産物ではないかという大胆な仮説も提唱されていますが、現時点では科学的根拠に乏しいと言えます。
謎多き恒星間天体3I/ATLASは、私たちに宇宙の広大さと多様性を改めて教えてくれました。
現在進行中の探査機による詳細な観測によって、この宇宙からの使者が携えてきた秘密を解き明かし、私たちの宇宙観を大きく変えることになるでしょう。
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