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【リアリティショック】理想と現実のギャップで働くビジネスパーソン

資格とビジネス教養

【リアリティショック】
理想と現実とギャップで働くビジネスパーソン


多くのビジネスパーソンが新しい環境に身を置く際に直面する心理的な課題の一つに「リアリティショック」があります。入社や昇進、復職といった人生の節目に、事前に抱いていた理想や期待と現実の環境の大きなギャップが引き起こす精神的な問題を指します。
リアリティショックは、個人のモチベーション低下やメンタルヘルスの不調、早期離職といった深刻な問題につながる可能性があり、個人だけでなく組織にとっても無視できない課題となっています。

私も部署を異動して衝撃を受けた経験があり、期待から一変、モチベーションが急降下して、異動したことを後悔しました。

本記事では、リアリティショックの基本的な概念と定義を確認し、個人と組織にもたらす具体的な問題点と影響について解説します。
これらの問題に対する効果的な対応策を、企業側と個人側の両面から考察していきます。

 

リアリティショックの基本概念と定義

「リアリティショック」とは、新入社員や新たな環境に置かれたビジネスパーソンが、入社前に抱いた理想と実際に直面する現実との間にギャップを感じ、心理的な衝撃を受ける状態を指します。

この概念は、1958年にアメリカの組織心理学者E.C.ヒューズによって提唱されたもので、時代や国を問わず、新しい環境に身を置く際に起こり得る普遍的な課題とされています。

リアリティショックは、特に新入社員に多く見られ、入社後1ヶ月程度で発生しやすいことから「五月病」と関連付けられることもありますが、新入社員に限らず、管理職への昇進や育児休暇からの復職など、環境の変化があった従業員にも起こり得ます。

パーソル総合研究所の2019年の調査によれば、入社後に何らかのリアリティショックを感じた人の割合は76.6%に上るとされており、多くの人が経験する心理的反応であることが示されています。

このギャップは、モチベーションの低下、メンタルヘルスの不調、早期離職といった深刻な問題につながる可能性が高いです。

 

リアリティショックがもたらす問題点と影響

リアリティショックは、個人と組織に様々な問題と影響をもたらします。

働くことへのモチベーションの低下

理想と現実のギャップは、仕事に対するモチベーションを大きく低下させます。入社前に抱いていた期待と実際の業務内容や役割との間に不満が生じ、意欲・やりがいを見出せなくなります。不慣れな業務や人間関係のストレスと重なることで、本来のパフォーマンスを発揮できません。

 

メンタルヘルスにおける不調

リアリティショックの衝撃が大きいと、従業員のメンタルヘルスに悪影響が出ます。

「こんなはずではなかった」

という思いから現状を否定的に捉え、自己評価が低下することがあります。精神的なストレスが蓄積すると、不安感、イライラ、集中力の低下などが生じ、業務に支障をきたします。食欲不振や不眠といった身体的な症状が現れることもあり、これが遅刻や欠勤につながり、個人の評価や信頼を損なう悪循環に陥ることもあります。集中力の低下によるミスや人間関係の悪化は、チーム全体にも悪影響を及ぼす可能性があります。

 

早期離職の検討

メンタルヘルスのバランスが崩れた状態が続くと、最悪の場合、早期離職につながります。特に新入社員は、企業への思い入れや自身の存在価値を見出しにくいことから、早期離職のリスクが高いとされています。

厚生労働省のデータによれば、新規高卒就職者で37.0%新規大卒就職者で32.3%3年以内に離職しており、その原因には「入社前とのイメージのギャップ」が大きく関係しているとされています。

早期離職は、企業にとって貴重な人材の流出、採用・育成コストの損失、周囲の従業員のモチベーション低下や連鎖離職といった二次的な影響をもたらします。

 

リアリティショックの要因

リアリティショックは「理想と現実のギャップ」によって引き起こされますが、その具体的な要因は多岐にわたります。

仕事内容に関するギャップ

入社前に抱いていた華やかな仕事のイメージと、実際に任される地味な業務との間にギャップを感じることがあります。自身の能力が活かせると期待していたにも関わらず、実際には未経験の業務に戸惑い、達成感を得られないことも原因となります。

 

対人関係に関するギャップ

職場の人間関係は、リアリティショックの大きな要因の一つです。
上司や同僚とのコミュニケーションが円滑に進まない、ジェネレーションギャップを感じる、期待していたサポートが得られないといった状況は、従業員の不安や喪失感を増大させます。

 

評価に関するギャップ

自身の働きが正当に評価されていないと感じることも、リアリティショックの原因となります。
特に、昇給や昇進に対する期待と現実が異なる場合、モチベーションの低下につながります。

 

企業文化・社風に関するギャップ

入社前にイメージしていた企業文化や社風と、実際の職場の雰囲気が異なる場合もリアリティショックを引き起こします。自由な社風を期待していたのに実際は厳格なルールが多い、チームワークを重視すると思っていたのに個人主義が強い、といったギャップです。

 

労働条件・待遇に関するギャップ

給与、残業時間、福利厚生など、労働条件や待遇に関する期待と現実のギャップも原因となります。特に、入社前に説明された内容と異なる実態に直面した場合、不信感や不満が募りやすくなります。

 

期待の判断不足

情報不足、偏見、過度な理想主義などにより、現実を正しく評価できていないと、リアリティショックが起こりやすくなります。入社前の情報収集不足や、企業側からの情報提供の偏りも関係します。

 

私が体験したリアリティショック

私が最初に就職した中小企業では、同期がおらず、年の離れた先輩しかいませんでした。
私の趣味と言えば、歴史やクルマだったのですが、ギャンブルやゴルフが趣味の先輩が多く、話が合いませんでした。
先輩とはギャンブルやゴルフに嫌々付き合うようなアウターファイブが本当に嫌でした。

現実問題として、新人や若手社員にとって、良い上司や先輩に出会うことは難しいのが現状です。
OJTとは名ばかりで、ほったらかしであったり、曖昧な指示を出して、あとで文句を言う上司や先輩も多くいます。
忙しい人、自分の世界でやっていたい人など、新人教育やフォローのできる人は本当に少ないです。
(全員ではないですが)

働かないおじさん、静かな退職、古い体質を好むベテランなどの存在も忘れてはいけません。
長い歴史のある会社、大手企業のように従業員の多い会社などでは、若者にとって少なからず、悪影響を及ぼす人たちがいます。
その結果、入社数年で退職していく若者を多く見てきました。

中年となった私ですら、古い固定観念を持った組織の中にいるベテランの同僚や定年近い上司と共に仕事をする中で、変えることを好まず、非効率な仕事の仕方を続けている姿にうんざりしました。

所属する部署によっては、「老害」と呼ばれる人が多くいることがあり、その中に入れられた若手社員が非常にやりづらそうにしている姿は、かわいそうでなりません。

学生を卒業したばかりの新人にとっては、仕事を覚えなければならない、人間関係を形成しなければならないなど、新しい環境に期待と不安を抱えています。
やはり、組織やその中で働く人たちの改革をしなければ、問題解決は難しいと強く感じます。

 

リアリティショックへの対応策と解決方法

リアリティショックを軽減し、従業員が新しい環境に適応できるよう支援するためには、個人と組織の両面からのアプローチが必要です。

企業でできる対応策

企業は、リアリティショックを未然に防ぎ、また発生した場合に適切に対応するための施策を講じる必要があります。

採用段階での情報提供

  • リアルな情報提供:入社前に、良い面だけでなく、仕事の厳しさや大変な面も正直に伝えることで、過度な期待を抑制し、入社後のギャップを小さくします。現場社員との交流機会を設けることも有効です。
  • 職務内容の明確化:実際の業務内容や責任範囲を具体的に説明し、入社後のミスマッチを防ぎます。

 

入社後のフォローアップ

  • OJT(On-the-Job Training)の充実:新入社員が早期に業務に慣れ、自信を持てるよう、計画的かつ丁寧なOJTを実施します。OJT担当者への教育も重要です。
  • メンター制度・OJTトレーナー制度の導入:新入社員が気軽に相談できる先輩社員(メンターやトレーナー)を配置し、精神的なサポートや業務上のアドバイスを提供します。定期的な面談やフィードバックの機会を設けることが重要です。
  • 定期的な面談・フィードバック:上司や人事担当者との定期的な面談を通じて、新入社員の状況を把握し、悩みや課題を早期に発見・解決します。ポジティブなフィードバックだけでなく、改善点も具体的に伝えることで成長を促します。
  • 研修制度の充実:新入社員研修だけでなく、中堅社員や管理職向けの研修も充実させ、各階層で起こりうるリアリティショックに対応できる能力を養います。

 

組織文化

  • 心理的安全性の確保:従業員が安心して意見を言えたり、失敗を恐れずに挑戦できるような心理的に安全な職場環境を構築します。
  • オープンなコミュニケーションの促進:上下関係なく意見交換ができる場を設けたり、部署間の連携を強化したりすることで、孤立感を解消し、一体感を醸成します。
  • キャリアパスの明確化:従業員が自身のキャリアを具体的に描けるよう、キャリアパスや評価制度を明確に提示します。将来への不安を軽減し、モチベーションを維持しやすくします。

 

個人でできる対応策

従業員自身も、リアリティショックを乗り越えるために意識すべき点があります。

自己理解

  • 自己分析の徹底:自身の強み、弱み、興味、価値観などを深く理解し、どのような仕事や環境が自分に合っているのかを明確にします。
  • 現実的な期待値の設定:入社前に過度な理想を抱かず、現実的な視点を持つことが重要です。情報収集を十分に行い、入社後のギャップを最小限に抑える努力をします。

 

積極的なコミュニケーション

  • 周囲への相談:悩みや不安を一人で抱え込まず、上司、先輩、同僚、友人、家族などに積極的に相談します。客観的な意見やアドバイスを得ることで、問題解決の糸口が見つかることがあります。
  • フィードバックの活用:上司や先輩からのフィードバックを真摯に受け止め、自身の成長に繋げます。

 

ストレスマネジメント

  • リフレッシュ方法の確立:仕事以外の時間で趣味や運動など、自分なりのストレス解消法を見つけ、心身のリフレッシュを図ります。
  • 完璧主義からの脱却:最初から完璧を目指しすぎず、少しずつできることを増やしていくという意識を持つことが大切です。

 

学びと成長

  • ポジティブな意味付け:ギャップをネガティブに捉えるだけでなく、それを成長の機会と捉え、新たな知識やスキルを習得する意欲を持つことが重要です。
  • 目標設定と振り返り:短期・長期の目標を設定し、定期的に振り返ることで、自身の成長を実感し、モチベーションを維持します。

 

結論

リアリティショックは、新しい環境に身を置く多くの人々が経験する現象であり、その影響は個人のキャリア形成やメンタルヘルス、組織の生産性や定着率にまで及びます。この問題に対処するためには、企業と個人の両面で協力し、多角的なアプローチで取り組むことが不可欠です。

企業は、採用段階での透明性の高い情報提供から始まり、入社後のOJTやメンター制度、定期的な面談、研修制度の充実を通じて、従業員が現実と向き合い、適応していくプロセスを積極的に支援する必要があります。心理的安全性の確保やオープンなコミュニケーションの促進、キャリアパスの明確化といった組織文化の醸成も、リアリティショックを軽減し、従業員が安心して働ける環境を作る上で極めて重要です。

個人も、自己理解を深め、現実的な期待値を設定すること、積極的に周囲とコミュニケーションを取り、悩みを共有すること、適切なストレスマネジメントを行うこと、ギャップを成長の機会と捉えるポジティブな意識を持つことが求められます。これらの個人側の努力は、企業側のサポートと相まって、リアリティショックを乗り越え、より充実した職業生活を送るための基盤となります。

リアリティショックは避けられない側面もありますが、その発生原因と影響を深く理解し、適切な予防策と対応策を講じることで、個人はより強く、組織はより健全に成長することができます。

 

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