第00話 アイツとの運命の出逢い!
あれは春休みを終えた小学5年生の新学期。
2年間一緒だったクラスメイトと別れ、新たにクラス替えが行われる。
私はワクワクしながら、いつもより早い時間に家を出た。
学校に着いた私は、
「5年1組か~」
と新鮮な気持ちで教室に向かった。
教室に入ると、見知らぬ長い髪の女の子が席に座っていた。
「同じ学年に、あんな子いたかな~?」
そう思いながら、新しいクラスメイトを待った。
その子は、山口から引っ越してきた転校生だった。
始業式を終えた後、教室の席が決まり、私はその子の前の席になった。
その子が消しゴムを失くしたことがあり、その子に私の消しゴムを貸したりした。
新クラスに馴染んだ頃、その子は長い髪をバッサリ切って、ショートヘアになった。
髪を切って、その子の笑顔や表情が見やすくなり、私は次第に好きになっていく。
私は、出席番号1、2、3番の仲良し3人組でよく遊んでいた。
3人ともその子が気になり、学校生活や下校時、放課後もちょっかいを出していた。
小学6年生に進級してもクラス替えはなく、その子と仲良し3人組は一緒だ。
その子が好きなのは私だけでなく、クラスメートの男子半数はその子が好きだった。
みんな意識していたらしく、私は目立ったちょっかいを出さなくなっていた。
あれは、2学期の頃だろうか。
ある時、クラスでフォークダンスをすることになった。
その子のことが好きだった男子が、その子と手を握らないという状況になった。
卒業と同時に愛知に引っ越すことが決まっていた私は、その子と手を握る最後のチャンスだと思い、照れながらもその子と手を繋いだ。
最初で最後になるだろうと思った。
照れ屋だった私は、その子の表情を見ることができなかった。
その子はどんな気持ちだったのだろうか?
卒業式が近づくにつれ、その子と距離を置いた。
離れ離れになることが本当に辛かった。
卒業式を終えて春休みとなり、その子のことを考えないようにした。
引越しの荷造りを終えて三原を去る日、家族が乗る車はその子の住むアパートの前を通りかかったのだが、私は見ないようにして、別れる辛さに耐えた。
愛知に引っ越してからも、その子のことを考えないようにした。
その子を忘れようとした。
そして、意識からその子が居なくなったと思うたびに、想い出す。
離れ離れとなって、30年以上も経つのに、その子が夢に出てくる。
小学校生活を共にした頃の夢、中学校生活を共に送っている夢。
44歳となった私は、今も実家に住み、独身生活を送っている。
暑くなった8月頃だろうか。
その子の夢を頻繁にみるようになった。
私にとって人生で一番の未練は、その子に想いを伝えられなかったこと。
結果はどうであれ、思い切って会いに行き、想いを伝えれば良かった。
何もできなかった自分を、今頃になって後悔し、責めた。
夢の中で、その子を遠くから見ているだけの私。
いつもすれ違っていた。
なぜ、今頃になって夢に出てくるのだろうか?
自問自答しながら、何もできないでいた。
このままで良いのだろうか?
そして、私は行動に出る。
『あの頃のアイツ』を懐かしく想いながら、描いてみた。
私の中では、あの頃のままのあいつで生き続けるだろう。
たとえ全ての事を忘れたとしても、あいつのことだけは忘れたくない。
第01話 いつまでも忘れられない想い人!
依頼して良かった。
30年以上前に、離れ離れとなったアイツを探し出してくれた「さくら幸子探偵事務所」
閲覧ありがとうございました。
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中年独身男のお役立ち情報局
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