量子チップWillow(ウィロー)発表!
2024年12月9日、Googleは量子チップ「Willow(ウィロー)」を発表しました。
105個の量子ビットを搭載して、従来のスーパーコンピュータが10の25乗年(100亥年)かかる計算時間をわずか5分で実行したとのことです。
また、量子エラー訂正技術を駆使し、量子ビットの数を増やすことでエラー率を指数関数的に低下させることに成功して、量子コンピュータ実用化の大きな一歩を踏み出しました。
商業用途チップの登場は、2020年代後半と予想されており、そのころに50歳となる私がついて行けるように、今から勉強していきます。
そもそも量子コンピュータって何だ!?
量子コンピュータは、従来のコンピュータとは異なる原理で動作する新しいタイプの計算機です。
量子力学の法則を基盤にして、従来のコンピュータでは考えられないほど高速に計算を行うことが期待されています。
量子ビット(qubit;キュービット)とは?
従来のコンピュータでは、情報を「0」または「1」の二進数(ビット)で表されます。
一方、量子コンピュータでは情報を量子ビットで表されます。
重ね合わせ(Superposition)
量子ビットは「0」と「1」の両方の状態を同時に扱うことができます。
これにより、従来のビットよりも膨大な情報を同時に処理可能です。
量子もつれ(Entanglement)
複数の量子ビットが、量子もつれ状態になると、個々の量子ビットの状態が互いに依存するようになり、非常に強力な並列処理が可能です。
量子コンピュータの動作原理
量子コンピュータは、量子ゲートという操作を用いて計算を行います
量子ゲートは、量子ビットの状態を変化させ、計算を進めていきます。
従来のコンピュータとの違い
並列処理の能力
量子コンピュータは「重ね合わせ」と「もつれ」を利用して、膨大な組み合わせを同時計算します。
活躍する分野
因数分解(RSA暗号の解読)や最適化問題、分子シミュレーションなど特定の問題で真価を発揮します。
量子コンピュータの応用
暗号解読
現在の暗号技術(RSAなど)は、量子コンピュータによって破られる可能性があります。そのため、量子耐性暗号(ポスト量子暗号)の研究が進められています。
最適化問題
複雑なタスクに対する最適化問題を効率よく解くことが期待されています。
医薬
分子シミュレーションや新薬の設計において、量子コンピュータは従来のコンピュータを大きく上回る能力を持つ可能性があります。
AIと機械学習
量子コンピュータを用いることで、AIのアルゴリズムがさらに効率化される可能性があります。
今後の課題
エラー訂正
量子は非常に不安定で、外部の影響(デコヒーレンス)を受けやすいため、エラー訂正が必要です。
大規模化のハードル
実用的な量子コンピュータを構築するためには、数百万~数十億の量子ビットが必要ですが、現在は数十~数百キュービットの規模にとどまっています。
コストと技術の壁
量子コンピュータの製造・運用には高度な技術と巨額のコストが必要になります。
研究・開発を進めている企業や団体
- IBM(IBM Quantum):大規模な量子プロセッサを公開
- Google(Sycamore):「量子超越性」を実証
- Microsoft(Azure Quantum):クラウド上で量子計算を提供
- D-Wave Systems:特化型の量子コンピュータ(量子アニーリング)を提供
将来の展望
量子コンピュータが普及すると、科学や産業、AIなどの分野で大きな飛躍が期待されています。
但し、実用化にはまだ時間がかかるとされています。
現在の量子コンピュータは「NISQ時代」(Noisy Intermediate-Scale Quantum:ノイズの多い中規模量子)の段階であり、さらなる技術革新が必要です。
量子コンピュータのアルゴリズム
量子力学の原理(重ね合わせ、もつれ、干渉など)を利用して、困難な問題を高速に解決できる可能性があります。
量子コンピュータでは、どのようなアルゴリズムが考えられているのでしょうか?
調べてみましたので、ご紹介します。
ショアのアルゴリズム (Shor’s Algorithm)
- 用途:整数因数分解(RSA暗号の解読)
- 概要:大きな整数を効率的に因数分解するアルゴリズムです。従来のコンピュータでは、因数分解に指数的な時間がかかりますが、ショアのアルゴリズムはこれを多項式時間で解けます。
- 仕組み:量子フーリエ変換(QFT)という高速フーリエ変換の量子版を利用します。これにより、数の周期性を効率よく見つけることが可能です。
- 影響:RSA暗号の安全性が脅かされるため、ポスト量子暗号の研究が進んでいます。
グローバーのアルゴリズム (Grover’s Algorithm)
- 用途:データベース検索
- 概要:非構造化データベース内で検索する際、従来のアルゴリズムよりも速く解くことができます。例えば、1万個のデータから1つの要素を見つける場合、従来は1万回試行が必要ですが、グローバーのアルゴリズムでは約100回の試行で済みます。
- 仕組み:特定の状態を増幅する量子干渉を活用し、求める情報を高速に見つけることが可能です。
- 応用:暗号解析や最適化問題に応用される可能性があります。
量子フーリエ変換 (Quantum Fourier Transform, QFT)
- 用途:周期性やパターンの発見
- 概要:フーリエ変換を量子コンピュータ上で効率的に実行するアルゴリズムです。ショアのアルゴリズムをはじめ、多くの量子アルゴリズムの中核を成しています。
- 仕組み:重ね合わせ状態のキュービットに対してフーリエ変換を適用することで、周期的な情報を抽出します。
量子位相推定 (Quantum Phase Estimation)
- 用途:固有値計算、分子シミュレーション
- 概要:量子状態の固有値を求めるアルゴリズムで、化学分野や材料科学で、分子や材料のシミュレーションに役立ちます。
- 仕組み:量子フーリエ変換を使用して、特定の演算子に対応する固有値を効率的に計算します。
量子ウォークアルゴリズム (Quantum Walks)
- 用途:グラフ探索、最適化
- 概要:グラフ構造上をランダムに移動する「量子ウォーク」を利用して、探索や最適化を行います。
- 仕組み:従来のランダムウォーク(確率的な移動)と異なり、量子干渉を利用して効率的に目的地に到達することが可能です。
- 応用:機械学習やネットワーク解析への応用が研究されています。
量子アニーリング (Quantum Annealing)
- 用途:最適化問題(例:巡回セールスマン問題)
- 概要:複雑な最適化問題を解くためのアプローチです。D-Wave Systemsが商用化した量子アニーリングマシンで使用されています。
- 仕組み:エネルギーの低い状態(最適解)を見つけるため、物理現象である量子トンネル効果を活用します。
- 特徴:他の量子アルゴリズムとは異なり、特化型(量子アニーリング専用)のアルゴリズムです。
ハイブリッドアルゴリズム (Hybrid Quantum-Classical Algorithms)
- 用途:現在のNISQ(ノイズの多い中規模量子)デバイスで利用可能
- 変分量子固有値ソルバー (VQE):分子のエネルギー状態を計算するアルゴリズムです。量子コンピュータを主に補助的な計算に使用し、残りは従来のコンピュータで処理します。
- 量子近似最適化アルゴリズム (QAOA):組合せ最適化問題を解くためのアルゴリズムで、量子計算と古典計算を組み合わせます。
HHLアルゴリズム (Harrow-Hassidim-Lloyd Algorithm)
- 用途:連立一次方程式の解法
- 概要:線形方程式の効率的な解法として提案されています。従来の計算では行列のサイズに比例して計算時間が増大しますが、HHLアルゴリズムは指数的な高速化を実現します。
- 応用:機械学習、データ解析、量子シミュレーションなど。
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